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日本の中小企業「社長が高齢者だらけ」問題。後継者不足で起こる“思わぬ余波”

日刊SPA! / 2024年8月6日 8時51分

 その新規事業を始める際に、M&Aを活用することが増えている。後継者も会社の存続だけでなく、さらなる成長発展を目指し、自分を支える従業員と共に20年後を見据え、どのような会社を買収すればシナジー効果が発揮できて企業価値が向上するかを考えないといけない。また中小企業といえども、コア事業に力を入れながら、新規事業にも参入し、事業基盤の拡大とリスク分散を図り、複数事業を展開する企業は多い。そこで、将来を見据えて、どのような事業ポートフォリオが最適かも常に考えなければならない。

◆M&Aのイメージも改善

 かつてM&Aは乗っ取りとか言われてイメージが相当に悪かったが、今は後継者対策や成長戦略の目的達成のための手段として、積極的に活用されるようになってきており、中小企業庁もM&Aガイドラインを制定して推奨している。今後もこの流れは続きそうだ。

 中小企業白書によるとM&Aに関して、買い手の目的は、売上・市場シェア拡大、新事業展開・異業種への参入、他社事業と自社事業のシナジー効果による価値向上、人材・顧客・取引先や技術・ノウハウの獲得等も強い動機である。中小企業でも買収が成長戦略の実現手段として認識されつつあるようだ。

 一方で、中小企業の会社売却の目的は①従業員の雇用の維持、②買収企業とのシナジー効果による会社の成長発展、③後継者対策、④創業者利潤の獲得などだ。社長も今まで会社を支えてくれた従業員・顧客・取引先への感謝の気持ちを大切にし、条件交渉をしなければならない。特に従業員の待遇などへの配慮は重要である。

 後継者対策として国も後押しするM&Aだが、買い手企業にダマされてトラブルになっているケースも多いから要注意だ。せっかく築き上げてきた会社と支えてきてくれた取引先、従業員やその家族が犠牲になってしまう。中には買収先の経営には興味がなく保有する現預金だけ吸い上げ、逃げている悪徳企業の存在もあるから、契約の際は慎重にしなければならない。

◆飲食店の買収は何が目的?

 また、中小企業社長にとって会社売却の知識や経験がないのがほとんどだ。したがって多少の費用は必要だが、M&Aの知見を有する専門家やFA(ファイナンシャル・アドバイザー)などの専門家に間に入ってもらい、円滑な契約していかねばならない。M&A仲介会社に依存しないように、専門家と共に、信用・信頼できる後継企業に譲渡することが必要だ。

 飲食店の買収では、買い手の目的は時間を買うということと、実績があるからリスクが低いということが多い。また、有形資産の価値は決算書を見ればわかるが、店の将来価値である無形資産(知的資産含む)は従業員が持っている場合が多い。

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