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日本の中小企業「社長が高齢者だらけ」問題。後継者不足で起こる“思わぬ余波”

日刊SPA! / 2024年8月6日 8時51分

 非上場株式の評価方式は、①収益方式(評価対象会社に期待される利益等を基にして評価する)、②純資産方式(評価対象会社の保有する純資産価額を基にして評価する)、③比準方式(対象会社と類似する上場会社<類似会社又は類似業種>の株式の市場価額などを参考として評価する方式)に分類される。

 どの評価方法を選択するかは規模によって異なるが、適切に株価を引き下げるなどして、円滑な承継を実現することが望まれる(中小企業庁:承継法ガイドラインより)。

◆事業承継で失敗した事例は多い

 中小企業の多くは代表取締役=支配株主という構図である。だが、その代表取締役に相続が発生し、親族内に社長の適任者がいない場合、創業家が株を持ちながら社内の生え抜きが社長になる場合がある。この所有と経営が分離された状態で、社長になれるのは、社内でも生え抜き社員であり、組織文化を理解し、組織の伝統と文化を継承できる逸材だ。

 その優秀な人材が後継社長に指名され、創業家一族でもない他人なのに社長に昇格したことに周りは驚きを隠せない。同族企業だから親族外の自分は出世しても、部長くらいと思っていただけに、まさか自分が社長になれるとはと、周りにも自慢していたようである。

 そして、千載一遇のチャンスを得たと思い、その職責を全うしようとしたが、あることで創業家と意見が合わず、対立してしまった。そうなると雇われ社長は、創業家から呆気なく解任されてしまった。何と身勝手な創業家一族かと思うが、これが現実である。

◆次期社長候補が離婚で最悪の結果に

 また、娘しかいない創業家オーナーの事業承継で、一流企業で勤めていた娘婿を後継者に決定した。社内でも次期社長と発表され、金融機関など外部の取引先への紹介を済ませていった。一通り現場を経験させた上で、3年後を承継のゴールに設定し、社長の下で育成していた。

 娘婿は期待に応えようと頑張っていたが、カリスマ社長の側近やプロパー社員からの嫌がらせなどでストレスを相当溜めていた。加えて、カリスマ社長の後を継ぐプレッシャーから、そのストレスが家庭でも出るようになり夫婦仲が悪くなり、ついに離婚することとなった。

 側近やプロパー社員たちの思惑通りに進んでしまい、最悪の結果になってしまった事業承継。娘婿にしては、一流企業のポストと将来の安定を捨て挑んでこの結果は納得できなかったろうし、創業家は娘婿に対する後始末が大変だったと思う。頓挫した後継者計画は結局、娘が承継することになったが、社内大きく混乱し、しばらくの間は重苦しい空気が漂っていた。

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