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増殖するタワマンで駅の利用者数が激変し、鉄道会社のビジネスモデルは根底から崩壊…JR京葉線が“通勤快速全廃”した事情を読み解く

日刊SPA! / 2025年1月20日 8時51分

増殖するタワマンで駅の利用者数が激変し、鉄道会社のビジネスモデルは根底から崩壊…JR京葉線が“通勤快速全廃”した事情を読み解く

京葉線の東端・蘇我駅は京葉工業地帯の雰囲気が色濃い(撮影:小川裕夫)

令和2(2020)年に感染拡大した新型コロナウイルスは、私たちのライフスタイルを一変させました。それまで自宅から会社へと通勤するという当たり前の生活スタイルは改められ、自宅で仕事をこなすリモートワークが普及。それに伴って、朝夕の通勤ラッシュは消失していきました。
通勤ラッシュがなくなることは、満員電車に揺られる苦しい思いをしている利用者にとって朗報。ですが、鉄道会社にとっては利用者減につながり、好ましい話ではありせん。そうしたコロナ禍にくわえ、鉄道各社の今後を脅かすのが人口減少という社会問題です。鉄道会社は、なによりも人を多く運ぶことで鉄道事業を拡大し、それを源泉として商業施設の運営や住宅地の開発といった沿線でのビジネス展開を発展させてきました。そうしたビジネスモデルは人口増を前提に成り立っています。

しかし、人口減少とコロナ禍による利用者減は鉄道会社のビジネスモデルを根底から崩壊させたのです。鉄道会社は崩れた将来図を再検討して、方針転換を余儀なくされました。

そして、列車の運行体系を合理化して鉄道運行にかかる経費を縮減する方針へと切り替えていきます。それを象徴する出来事が、京葉線の通勤快速を全廃するというダイヤ改正でした。(※本記事は、『鉄道がつなぐ昭和100年史』(ビジネス社)より抜粋したものです)

◆大きな波紋を呼んだ“通勤快速全廃”のダイヤ改正

JR東日本千葉支社は令和5(2023)年12月に翌春のダイヤ改正を発表。そこには京葉線と内房線・外房線で直通運転していた通勤快速を全廃する内容が含まれました。また、同時に快速もデータイムのみの運転になることが盛り込まれていました。これが大きな波紋を呼び、テレビ・新聞・ネットなど各種メディアが盛んに取り上げたのです。

京葉線は東京駅─蘇我駅間を結ぶ約43.0キロメートルの路線です。そのほか、市川塩浜駅─西船橋駅間の約5.9キロメートル、同じく西船橋駅─南船橋駅間の約5.4キロメートルの支線を有します。

京葉線の通勤快速は東京駅─蘇我駅間を走っていましたが、東京方面へと走る朝の通勤快速は蘇我駅を出発すると、次は新木場駅に停車します。駅前に幕張新都心が広がる海浜幕張駅や平成10年代からタワマンが増えていた新浦安駅、ディズニーリゾートの玄関駅となっている舞浜駅には停車しません。これら3駅は京葉線内では需要が高いのですが、これらを通過する通勤快速は利用者にとって不便だったのです。

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