167cm48kg、もっと増量したい中学生野球男子 1日4食も吐き気…プロ野球選手も実践する食事法を紹介
THE ANSWER / 2024年4月1日 16時3分
■連載「強い子どもを育てる ミライ・アスリートの食講座」第47回
栄養・食事の観点からジュニア世代の成長について指南する、「THE ANSWER」の保護者向け連載「強い子どもを育てる ミライ・アスリートの食講座」。プロ野球・阪神タイガースなどで栄養サポートを行う公認スポーツ栄養士・吉谷佳代氏が講師を務め、わかりやすくアドバイスする。今回は読者から届いた質問に回答。体重増加に悩んでいる中学生の野球部員にプロ野球選手も実践している食事法を紹介する。
◇ ◇ ◇
「中学生男子、野球部です。今、身長167cm、体重48kgですが、パワーをつけるために、もっと体重を増やしたいです。食事は1日4食、肉と米を中心に食べています。また、プロテインを摂り、ウエイトトレーニングもしています。ただ、食欲はあまりなく、吐き気を感じることも増えました。父母ともに細身ですが、太れないのは体質だから、と片付けたくはありません。どうしたら体重増加に繋がるかを教えて下さい」(だいきち・中学生)
男子中学生は成長期の真っただ中。成長に必要なエネルギーと栄養を、しっかり摂りたい時期です。その点、だいきちさんは体作りに必要な炭水化物、たんぱく質ともに十分摂っている様子が伺えますし、大幅なエネルギー不足にはなっていないと思われます。
問題があるとすれば、「食欲が出ない」そして「吐き気を感じることが増えている」点です。野球の練習に加え、ウエイトトレーニングも行っているとなると、かなりの運動量と運動強度。そのため、食事もすごくたくさん食べているのではないでしょうか。
だいきちさんの身長・体重をみると、まさにグングン大きくなっている最中かと思います。つまり、内臓も成長段階。一度にたくさんの食べ物を消化・吸収できる力が、まだついていないかもしれません。
また、消化・吸収を担う胃腸の働きは、疲労の蓄積によっても低下します。日々の運動量が多いため、体が十分回復していないことも考えられます。
だいきちさんが心配されている通り、体格は遺伝的な影響を受けることは確かです。ただ、食事の摂り方を工夫することで、自分に備わっている「成長する力」を最大限、伸ばすことは可能だと思います。
例えばプロ野球選手も、何もしなくても大きくなれる選手ばかりではありません。トレーニングを積んでもなかなか筋肉量が増えない、理想の体格になれないと、悩んでいる選手はたくさんいます。加えて、食事をたくさん食べることが苦手な選手もいます。
■増量に悩むプロ野球選手が実践している食事法
そこで今回は、「なかなか大きくなれない」と悩むプロ野球選手たちも実践している、食事の方法を紹介しましょう。
今日から実践してほしいことは二つ。「1日の食事の回数を増やす」と「野菜と果物を食べる」です。
体を大きくするために、もっとも効果的で大事な方法が、一つ目の「1日の食事の回数を増やす」です。
ポイントは、1回に食べる量を増やすのではなく、食べる回数を増やすことです。そこで朝昼晩の三度の食事のほか、食間や部活動の前後の時間に、1日3、4回、は「補食(栄養のある間食)」を食べましょう。
体を大きくしたいとき、優先してしっかり食べて欲しいのは炭水化物です。具体的に言うと、1日の総摂取カロリーの6割は炭水化物で摂りたいのですが、三度の食事だけは量が多くなり、大変。1日3、4回の補食でこまめに摂れば、胃腸にかかる負担が少なくなります。
量は1回につき、おにぎり1個、バナナ1本、プロテイン1杯、エネルギーバー1個ぐらいでOK。食欲がないときは、ツルッと食べられるゼリーがおすすめです。缶詰のみかんがどっさり入ったゼリーなどは、エネルギー源の糖質もしっかり摂れます。
「1日4食」というだいきちさんも、しっかり食べるのは朝・昼・晩の3回にして、補食の回数を増やしてみましょう。
内臓の働きをサポートするためには、二つ目の「野菜や果物を食べる」が効果的。野菜や果物に含まれる酵素や食物繊維には胃腸の消化・吸収機能を助ける働きがあり、食べた分のエネルギーや栄養をムダにしません。
野菜をしっかり食べるコツは、味噌汁やスープといった汁物の具材にすること。生で食べるよりもかさが減るので、たっぷり食べられます。また、バナナや牛乳を加えて、自家製のスムージーにするのもおすすめです。
果物は、食事のデザートや補食として、1日2回程度は摂るよう心掛けましょう。季節の果物は勿論、比較的、1年中手に入りやすい、バナナやキウイフルーツ、りんごなど何でもOKです。
■今大切なのは自分の体に興味を持ち、日々の体の変化を感じること
体を大きくしたいときは、「肉や魚をたくさん食べなくては」と考えがちです。でも、1日に必要なたんぱく質量の目安は、激しい運動やトレーニングをしている中学・高校生で体重kg×1.6~2g程度。軽度な運動時や成長期を迎えていないジュニアアスリートは体重kg×1.2~1.5g程度です。
体重48kgのだいきちさんなら80~100g。たんぱく質は卵や牛乳・乳製品、米にも含まれるので、肉とご飯をしっかり食べている今、必要量は十分摂れていると思います。まずは炭水化物と、野菜・果物を増やしてみてください。
中学生になると、周りの友達もグングン大きくなるので、焦るかもしれません。でも、今大切なのは、自分の体に興味を持ち、日々の体の変化をしっかりと感じること。毎日、体重を測るだけでも自分の体に向き合えるようになります。
プロ野球の選手たちも皆、日々、体作りのために努力をしていますし、中学生のだいきちさんは、まだまだ大きくなる可能性が十分あります。質問にあるとおり、「体質で片付けなくない」という意気で、できることを続けてみてくださいね。(長島 恭子 / Kyoko Nagashima)
長島 恭子
編集・ライター。サッカー専門誌を経てフリーランスに。インタビュー記事、健康・ダイエット・トレーニング記事を軸に雑誌、書籍、会員誌で編集・執筆を行う。担当書籍に『世界一やせる走り方』『世界一伸びるストレッチ』(中野ジェームズ修一著)など。
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