【日本ハム】新庄政権最多の貯金5 王者オリックスに見せた昨季までとの〝違い〟を柏原純一氏が分析
東スポWEB / 2024年5月4日 5時45分
【柏原純一「烈眼」】本物かもしれない。日本ハムは3日のオリックス戦(京セラ)で3―0と快勝した。
正直なことを言えば、両軍の先発を見比べても試合前まで日本ハムには「分が悪いな」と思っていた。全試合で責任投球回の5回以上を投げ、防御率0点台のオリックス・東に対し、日本ハムは今季未勝利の鈴木健。だが選手たちには、投打の両面で昨季まで不足気味だった粘り強さや、勝負勘が確実に備わってきており「成長しているな」と感じた一戦だった。
まずは攻撃陣。初回に奪った3点は二死からのつながりだった。3番・田宮の四球、4番・マルティネスの右前打で一、二塁。昨季までとの違いは、この後だ。
続く5番・万波、6番・郡司が連続適時打。万波は7球目の153キロ直球を左中間に、郡司は9球目のツーシームを左前に運んだ。万波は4球目、郡司は3球目にそれぞれ追い込まれながらも、快音はその後の対応力で生み出したものだ。ボール球を見極め、ヒットにすることが難しいボールはファウルで逃げる。「いい球が来たから」「投手のレベルが高いから」で終わらない。特に万波が放った先制2点適時打の場面だけで終わらず、畳みかける形で飛び出した郡司の一打は値千金で素晴らしい集中打だった。
粘り強くなったのは、投手陣も同様だ。6回途中まで1安打とオリックス打線に的を絞らせなかった先発・鈴木健が試合をつくった後、9回のクローザー・田中に託すまで2番手以降、北浦→ロドリゲス→河野→マーフィーと無失点でつないだ中継ぎ4人の奮闘も初回の〝スミ3〟だけで逃げ切った要因だ。大なり小なりの反省は個々にあるにせよ、このチームには「誰か1人」の誤算で試合が壊れることもなくなった。
質量に加え個々の経験値もブルペンでの準備段階から上がっている。だからこそズルズルといかなくなっているのだろう。特に終盤7回は失策、8回は四球と先頭打者をイヤな形で出塁させていただけに、幸運な面もあったにせよ3連戦初戦で試合の流れを一度たりとも渡すことなく、最後までスコアボードにゼロを並べたことは、2戦目以降の継投策に必ず生きてくるはずだ。
新庄政権の一昨年、昨年の5月3日の成績を覚えている人はいるだろうか。初年度の2022年シーズンは借金10、昨季は借金7。鯉のぼりの季節には、すでに〝秋風〟が吹いていた。3年目の今季は同政権最多の貯金「5」。今年は秋まで、ぜひ楽しみたい。(野球評論家)
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