老後の”2000万円問題”を解決する金融商品とは?
LIMO / 2019年7月17日 20時20分

老後の”2000万円問題”を解決する金融商品とは?
資産形成の基本は長期的な観点でコツコツと積み上げていくものです。今世間を騒がせている年金も、しっかり最低25年間(国民年金)、年金保険料を払い込むものです。つまり年金は、長年コツコツと積み上げる超長期投資と言っていいでしょう。
一方、問題となっている年金以外の不足分の“2000万円”を補うために金融資産で積み立てることを考えると、今後も25年、30年と運用を続けられるものでないといけません。例の金融庁レポートも、年金以外の生活費が2000万円不足するという議論はあるとして、ではどうやって年金以外の資産を増やせばいいのかは指摘していません。そこで今回は、どうやって増やすかを考えてみます。
毎月少額を積み立てていける金融商品は意外と少ない
高額の宝くじに当たる人は別にして、普通の人はいきなり現金をドカンと手に入れることはできません。大なり小なり、毎月の給料から貯めていくのが普通でしょう。年金保険料をはじめとする社会保険料は給料から天引きですから、それとは別口で資産形成するのであれば可処分所得の残りから、ということになります。
といっても、毎月貯蓄に回せるのは数千円から多くて数万円程度でしょうから、この金額の範囲で積み立てができる金融商品を上げてみましょう。
(1) 預金(定期預金)
(2) 投資信託
(3) 株式(株式の売買単位は最低100株なので、必然的に低位株となる。Jリート(上場不動産投資信託)は1株10万円を超えているものがほとんどなので対象外)
あれこれ考えましたが、“お手軽に”毎月取り組めるのは、実際この3つくらいしかありません。若干ハードルを上げれば、ロボアドやクラウドファンディング、金投資といった、1口数千円から1万円前後の小口金融商品もありますが、コストも高く、仕組みも複雑でまだまだ一般的ではないですね。
月掛けで保険料を払っていく貯蓄性保険も、積立定期預金のような感じではありますが、あくまでその主目的は保険ですので、貯蓄性は二の次でしょう。
読者のみなさまもじっくり考えていただいて結構ですが、数千円からの小口で投資できる金融商品というのは、実のところそれほどたくさんあるわけではありません。
株式は銘柄選びが難しく、投資信託は本数が多い
実際に毎月の積み立てに取り組むとなると、一番お手軽なのは預金でしょう。ほとんどゼロ金利といっても、銀行の信用力は抜群で、コンマ以下の金利で銀行同士しのぎを削っています(苦笑)。加えて、給与振込口座から直ぐに定期預金等に振り替えられるというのも強みです。
投資信託はどうでしょう。最近の大手オンライン証券では、当初100円で投資信託を購入できますので、かつてと比べると購入金額のハードルはかなり下がってますね(もちろん、証券口座を開設するという事務上の煩雑さは残ります)。
ところが、投資信託で運用する際に考えなければならないのは、約5500本の投資信託(公募契約型株式投資信託追加型、除くETF)の中から選ばなくてはならないということです。もっともオンライン証券大手でも取り扱い本数は2000~3000本くらいですので、わざわざ5500本をスクリーニングする必要はありません。
加えて、これから年金のように20~30年かけて積み立てる方は、その投資対象の投資信託も今後20~30年運用される投資信託でないといけません(途中でほかの投資信託に乗り換えることはできますが、手続きが面倒くさい)。日本で30年以上運用されている投資信託は、5500本中たった36本しかありませんから(注)、超長期投資に耐えうる投資信託を選ぶのがポイントになってきます。
(注)モーニングスターのウェブサイトより筆者検索。
では、株式はどうかというと、言わずもがな個別銘柄の選択はプロでも間違うくらいハードルが高いのが実際です。もちろん、それなりの醍醐味はありますが、年金保険料の支払いのように25年間毎月個別株を買い続けるのは、体力的にも心理的にも難しいでしょう。加えて、低位株中心ということであれば、いつまでたっても低位株のままという可能性も残ります(泣)。
* * * * *
ということで、長期資産形成に資する金融商品は預金しかなさそうですが、実はそんなことはありません。世界的な低金利もあり、預貯金にはほとんど金利は付きませんが、投資信託においても販売手数料や信託報酬の引き下げ競争が加速しています。オンライン証券を使えば、販売手数料なしで投資信託が購入できます。多少面倒くさいですが、NISA(小額投資非課税制度)やiDeCo(個人確定拠出年金)も利用できます。
いままで個人の証券投資で長期運用が成り立たなかった背景には、金融機関の販売手法に問題があったことや、一般個人向けの運用商品が長期運用に耐えうるように設計されてこなかったことがあります。ところがこの分野に、金融機関以外の業態やスタートアップが参入してきている影響で、運用商品はより高い透明性と低コストを求められています。
考えようによっては、私たちは業者優位から投資家優位へと変わってきている端境期にいるのかもしれません。読者の方は、ある意味どん欲になって金融商品の目利きになってほしいと思います。
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