親による体罰が法律で禁止に…正しいけど不安を感じるのはなぜ?
LIMO / 2019年9月23日 10時45分
親による体罰が法律で禁止に…正しいけど不安を感じるのはなぜ?
2020年4月より、親から子に対する体罰が法律によって禁止されます。虐待の結果子どもが亡くなってしまうような事件が後を絶たないことも、児童虐待防止法・児童福祉法が改正されることになったきっかけのひとつです。
しかし親の体罰についてはさまざまな意見があり、正解が出ないのも事実。子育て世代にとって、この法律改正がどのような影響を与えるのかについて考えてみました
しつけ×体罰はすごく難しい関係にある
“体罰はどんな状況であれ許されるものではない”というのは、この問題と向き合うときに必ず前提にしなければいけない考えです。しつけのために体罰が必要なのか、これは人や家庭によってさまざまな考えがあり、一概に何が正解で何が間違いだと言えない問題でもあります。
そもそも“しつけ”とは、子どもが大人になったときに困らないよう生きていくうえでの基礎となることがらを教えてあげること。時代などによって、しつけをしておかなければいけない内容に変化が起こる可能性はありますが、基本的なことは変わりません。しつけの結果、社会に出ても恥ずかしくないような習慣が身につき、一人前の人間へと成長できるのです。
しかし、赤ちゃん期を過ぎて自我が芽生え始めると、親など大人から言われることに子ども自身が反発する機会も増えてきます。しつけのために大人が一生懸命伝えても、なかなか聞く耳を持とうとしないこともあるでしょう。何度言っても聞かない子どもに対して、“痛みを持ってわからせよう”と手の甲やおしりなどをパシっとはたいたことのある人も実際にいます。
しつけの際に行われる体罰は、全く必要ないという人もいれば、ある程度は必要だと考えている人もいるでしょう。しつけを行なう際には、子どもの自尊心が傷つかないようにすることが大切ですが、ルールを教えるために体罰を行っている家庭があるのも事実です。
虐待事件へと発展するのは“しつけ”ではない
2020年の児童虐待防止法・児童福祉法改正を目前に控え、有識者会議などが行われています。その中であがったのが、“暴言も禁止にするべきではないか”という意見です。今回法改正が行なわれる要因となったのは、日本各地で起きている虐待事件。メディアなどでも取り上げられている事件だけでなく、公になっていないところでも日々つらい思いを抱えて生活している子どもがいます。子どもの体へ直接的に痛みを与える行為だけでなく、子どもの心が壊れてしまうような暴言を常に浴びせて、我が子を支配しようとしている親もいるのでしょう。
暴行とは違い言葉の暴力は目に見えるようなダメージがないため、なかなか気づけないのも事実です。心の闇を抱える子どもをなくしたいという思いから、暴言についても全て禁止するべきではないかという意見もあがっています。もちろん、体罰だけでなく暴言も許されることではありません。しかし、根本的に虐待事件として取り上げられているような案件は、そもそも“しつけ”ではないのです。
虐待事件の犯人として逮捕された親たちは、こぞって“しつけのつもりでやっていた”と証言します。しつけは、大人が圧力をかけて子どもを支配することではなく、社会に出ても恥ずかしくないよう生活の基本を教えてあげることです。
虐待が起きないように法律が改正されようとしていますが、根本的な解決にはつながらないのではないかという疑問を抱えている人も多いのではないでしょうか。
周囲から監視されているような恐怖を感じながらの子育て
子どもが健やかに成長できるようにと、児童虐待防止法・児童福祉法が改正されようとしています。この法改正に賛成する人も反対する人もいるでしょうが、大事にしなければいけないのは子どもたちとその子どもたちを育てる親です。虐待を行なう親がいる一方で、大多数の親たちは愛情をたっぷり注いで大切な我が子を育てようとしています。その中で、突然道路に飛び出そうとした子どもを引っ張ったり、言うことを聞かずに危険な目にあいそうになった子に荒い言葉でしかったりすることがあるかもしれません。
今までは比較的自分なりの方法でできたしつけですが、法律によって体罰・暴言を禁止にしてしまうことで、親たちが委縮してしまうのではないかと心配しています。何度も言うように、体罰・暴言が許されると考えているわけではありません。しかし、法律で決められてしまう怖さがあるのも事実。子どもを大切にしている人でも「もしかして体罰と思われたかな」「今のって暴言に入るのかな」など、まわりの目に怯えながらの育児になるのではないでしょうか。
子どもたちを虐待から守るには、しつけに対する考え方の徹底だけでなく、児童相談所のシステム再構築やもっと育児しやすい環境を整えることも必要なのではと思うのです。
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