金融詐欺の被害に遭いやすい人は自信過剰? 金融リテラシークイズの結果から
LIMO / 2019年11月21日 20時15分
金融詐欺の被害に遭いやすい人は自信過剰? 金融リテラシークイズの結果から
金融リテラシーという言葉を聞いたことがあるでしょうか。お金にまつわる知識や判断力、理解度を示す言葉で、テレビのニュースなどで耳にしたことがある人も多いかもしれません。
リテラシーという言葉は「読解記述力」とか「識字力」といった意味を持っていますが、金融リテラシーといえば、単なる金融知識ではなく、お金に関する「生活力」ともいえるでしょう。
その金融リテラシーについて、金融広報中央委員会は18歳以上を対象にした調査を行っています。この結果から、金融リテラシーが高い人、また反対に、金融詐欺の被害に遭いやすい人はどのような人なのか、その傾向を見ていきましょう。
金利に対する理解が不足している高齢者
金融広報中央委員会は調査の設問の一部を5つのクイズ(金融リテラシークイズ)として、結果とともに公開しています。
2019年の調査の結果では、18歳から29歳までの平均は40.8点、30代が48.0点、40代51.1点、50代55.2点、60代59.3点、70代59.8点でした。前回の2016年の調査結果と同様に、年齢が上がるほどに平均点数が上がっており、金融リテラシーは年齢とともに高まっているといえそうです。
その一方で、この金融リテラシークイズ(2016年)の設問をそのまま活用し、フィデリティ退職・投資教育研究所が、高齢者(回答者65歳から79歳までの1万1960人)を対象に行った調査結果からは、高齢者の金利に対する理解度の低さもうかがえます。
そこでは、単に「金利上昇時の運用・借り入れ」と「複利の理解」の正解率が低いというだけではなく、「わからない」との回答が目立っています。高齢者にとって、「金利」をしっかり理解できることは、「金融リテラシー」を向上させるための重要なポイントといえるでしょう。
金融詐欺の被害に遭いやすいのは「自信過剰な人」
フィデリティ退職・投資教育研究所の調査では、金融詐欺に遭ったかどうかに関する設問もありました。全体で「金融詐欺に遭った」と回答した人は4.6%という結果が出ています。
同様に「知人が金融詐欺に遭ったと聞いたことがあるか」という設問に対しては、10.6%の方があると答えています。「自分は金融詐欺にあっていないが、友人はあっている」と答えているわけで、実際にはもっと被害率は高いのかもしれません。
注目すべきは、自分自身では「金融知識が高い」と判断しているものの、実際の金融リテラシークイズの点数が低い人、すなわち金融リテラシーに対して自信過剰な人は金融詐欺被害率が高かったという点です。
「同世代の人と比べて自分は金融知識が高い」と判断しているのに、金融リテラシークイズの得点が0-40点と全体平均の56.3点よりも低かった人が「金融リテラシーの自信過剰な人」と定義されていますが、同調査ではこうした人が1,633人、全体の13.7%にも達しています。
投資をしている人ほど金融リテラシーが高い
金融リテラシークイズの結果は投資にも関係があります。「現在投資をしている人」が65.2点、「以前投資をしていたが今はやめた人」が57.0点、「これまで投資をしたことがない人」が44.7点で、投資をしている人の金融リテラシーが相対的に高いことを示しています。
この関係を「金融リテラシーが高い人ほど、投資をしている」と読むこともできますし、逆に投資の経験を重ねたから金融リテラシーが高くなったとも考えられます。
まとめ
金融リテラシーは年齢とともに、また、投資経験とともに高くなる傾向があるようです。金融リテラシーを上げるためには、少なからず投資に関わることが近道といえるでしょう。
ただし、実際には金融リテラシーの理解度が低いのに自己評価が高い自信過剰な人は、詐欺被害に遭いやすいという結果も出ています。金融リテラシークイズの結果に関わらず、自分の金融リテラシーを過信せずに、金融詐欺に対しては常に警戒するよう心がけましょう。
【参考資料】
「金融リテラシークイズ(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/literacy_chosa/literacy_quiz/)」(金融広報中央委員会 知るぽると)
「高齢者の金融リテラシー調査(https://invest-navi.fidelity.co.jp/static/japan-invest-navi/survey-report/20190214.pdf)」(フィデリティ退職・投資教育研究所、2018年12月実施)
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
新社会人はお金を「守る」「活用する」知識を学ぼう
Finasee / 2024年4月30日 11時0分
-
〈著名人かたる偽SNS投資広告〉「詐欺師は私たちのように地獄に落ちてほしい」米メタ社の日本法人を集団提訴した被害者たちの苦悩「娘の高校入学金をだまし取られ、家族を泣かせてしまった…」
集英社オンライン / 2024年4月25日 21時28分
-
経済アナリスト・馬渕磨理子氏が詐欺広告被害 闘病写真を無断使用、問い合わせ殺到で疲弊「正しい情報を」
よろず~ニュース / 2024年4月25日 18時10分
-
2023年は「金融資産0円世帯」が増加!数字で見るシニア世帯の金融資産事情
ファイナンシャルフィールド / 2024年4月22日 11時0分
-
いくら通報しても意味がない…フェイスブックの「なりすまし詐欺広告」が社会問題に発展した根本原因
プレジデントオンライン / 2024年4月14日 10時15分
ランキング
-
1Googleの「約束破り」が示す検索市場の"危うさ" ヤフーへの技術提供制限で公取委が初の処分
東洋経済オンライン / 2024年5月2日 7時20分
-
2政府・日銀 “不意打ち”為替介入か 早朝に一時4円超円高に
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年5月2日 16時53分
-
3GWの平均予算は「2万7857円」 過ごし方の3位「買い物」、2位「外食に行く」…「海外旅行」は1%
まいどなニュース / 2024年5月2日 7時50分
-
4「日本は貧乏な人が行く国」訪日客の素直な見方 「安くてコスパがいい」日本が陥っているワナ
東洋経済オンライン / 2024年5月2日 12時30分
-
5「何の感情も抱かない」底辺校の生徒たちの異変 東海地方で30年働く先生が語ったこと(第1回)
東洋経済オンライン / 2024年5月2日 10時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください