「残業は無能の証」「役員の一言で皆が右往左往する謎」…若者が感じる会社への違和感
LIMO / 2019年11月24日 20時10分
「残業は無能の証」「役員の一言で皆が右往左往する謎」…若者が感じる会社への違和感
最近の若者、とりわけ新卒で入社してくるような年齢の人は、私たちの常識や「当たり前」とは全く異なった価値観を持っています。一時はバイト先のイタズラSNSが拡散されたり、さとり世代などと揶揄されたこともありましたが、私たちが彼らから学ぶことも実はたくさんあるようです。
今回は、今の若者たちが感じる会社への違和感について、新卒から3年目までの若者に聞いてみました。
もはや残業は美学でも努力でも何でもない
IT企業に勤務する3年目のAさんは、「残業なんて効率の悪さを露呈しているようなもの」と鼻で笑います。「元々終業時刻が決まっていて、稼働時間は8時間とわかっているのになぜ残業するのかわからない。8時間とわかっていてその中で仕事を終わらせられないのはただの無能」と強気です。Aさん曰く、「時間内に仕事が終わらない人ほど成果が出ていないことが多い」のだとか。
確かにAさんの言うことはある意味もっともですよね。就業時間が決まっているのに、その時間内でこなせないようであれば仕事の再配分を上長に申し出るべきかもしれません。
「でも、他に任せられる相手がいないこともあるのでは?」という筆者の質問に対しても、「そんな事態になっていることを上長に伝えていないことのほうが問題。伝えているのに動いてくれないなら、さらに業務量の調整を依頼すべき。調整力の問題では」と返されてしまいました。
残業と言うのは、今の若い世代にとってはただの無駄。「残業代をもらうために効率悪く仕事をしているだけ、みっともない」というふうに映るのだと言います。
「残業代をもらわないとやっていけないようじゃダメ。いい生活をしたいならいい会社に入るべきだし、生活水準と自分の実力が見合っていないのもダメなんじゃない」とバッサリ切られてしまいました。Aさんの言う通りにすべての物事が進むわけではないでしょうが、効率を重視する若い世代の価値観をこの先は私たちも無視することはできないでしょう。
意味のない年上崇拝やデキない人への忖度
金融機関で働く社会人2年目のBさんは、「デキない人への忖度が意味不明」と愚痴を漏らします。
Bさん曰く、「デキない人に対して腫れ物みたいに扱うのは意味が分からない。仕事ができないなら、あなたはあなたの職位に見合った仕事ができていないよときちんと伝えるべき。じゃないと、いつまで経ってもデキない人は求められている仕事とできている仕事の差分を盗んでいる給与泥棒のようなものだし、日本人のはっきり言わない文化は優秀な人の不満を生んでいる」と言います。
また、「年上に対する敬意は必要かもしれないけれど、会社にとってそんなことは不要。たとえば、プロジェクトのメンバーではリーダーかそうでないかは重要だし求められる役割は異なるけれど、リーダー以外のメンバーはみんな同列なはず。それなのに年上だからと言って幅を利かせられても困る。そんなことやっている暇があるなら仕事してほしい」と言います。
確かに、仕事がデキない人に気を遣って腫れ物扱いになるパターンは結構ありがちです。「年齢だけで偉そうな顔をされても…」と思ったこと、社会人ならだれでも一度はあるかもしれませんね。
副業を解禁できないのは会社の自信のなさに見える
新卒1年目で金融機関勤務のCさんは、「副業の解禁をしないことで会社に引き止めている気になるのは、もはや自信がないだけ」と嘆きます。
「副業を解禁して、社員が2枚目、3枚目の名刺を持つようになって人材流出につながるのが怖いのだろう。機密情報の流出だけは厳禁だけれど、安月給、劣悪な環境で働かせている社員が外の世界を見て『こんなに快適に働ける環境があるんだ』と気付いて会社から去っていくのが怖いようにしか見えない」と腹立たしげに語ってくれました。
さらに「正直、1か所からお金をもらっているだけじゃ不安だし、会社に何かあって倒産したりリストラされたりしたら、経営層が悪いのに自分たちは真っ先に放り出される。就業時間内に副業するのは確かにNGだけど、就業時間外のことを会社にとやかく言われたくない」と続けます。
彼の言う通り、就業時間内の副業が御法度なのは当然ですが、就業時間外のことまで口出しされたくないという気持ちは理解できますよね。
「何を言うか」より「誰が言うか」が重視される謎
電子機器メーカーの2年目Dさんは、社内の雰囲気や風潮に違和感があると言います。「最近感じるのは、『何を言うか』よりも『誰が言うか』が尊重される雰囲気。同じことを言っても、偉い人の発言には強大な力がある。それがどんなに理にかなってないことでも」とため息をつきます。
さんざん話し合って決めたプロジェクトの方向性を大きく揺るがすようなことを、役員が気軽に発言するのだそう。それに対してどんなに論理立てて反論しようとも、役員がなんとなく言った一言のほうが尊重されるのだと言います。
「利用するお客さんのことより、その役員の何気ない一言が尊重されるのは意味がわからない」とDさん。さらにタチが悪いのは、その役員は次の会議のときには自分の発言を忘れていることも多く、「なんでそんな仕様に?」と言ってくることもしばしば。それでプロジェクトの進捗が遅延することも多いのだそうです。こういう会社、日本には少なくないのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたか。若者たちが感じている違和感の中には、私たちが当たり前のようにやっていることが混じっているかもしれません。しかしその一方で、効率を重視する姿勢や、発言者の立場に惑わされずにお客さんのことを第一に考えるマインドなど、彼らが彼らなりに仕事で大事にしていることがわかるインタビューとなりました。「若者が言うことはよくわからない」と無視するのではなく、彼らの話に耳を傾けてみるのもいいのではないでしょうか。
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