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【鳥貴族】2021年Q3は経常利益▲20億円の大赤字 2017年の値上げが潮目 新業態で逆襲

LIMO / 2021年6月30日 7時0分

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【鳥貴族】2021年Q3は経常利益▲20億円の大赤字 2017年の値上げが潮目 新業態で逆襲

鳥貴族が2021年7月期第3四半期に経常利益で▲20億円もの赤字を計上しました。2014年のIPO後、一時は一斉を風靡しましたが、2017年10月の値上げで潮目が変わりその後はコロナ禍もあり逆風が続いています。

新たに始めるチキンバーガー事業も加えることで、鳥貴族はかつての輝きを取り戻すことができるのでしょうか。今後の行方が注目されます。

2021年7月期第3四半期で▲20億円の大赤字を計上

コロナ禍の中で東京などに出された3度目の緊急事態宣言は2021年6月20日で解除されましたが(沖縄県は7月11日まで)、多くの外食店の経営状態が悪化しています。特に居酒屋は利益率の高いアルコール類の提供ができず苦戦中です。

ほとんどのメニューを統一価格(現在は税抜298円)で提供し、デフレ経済の下で店舗数を急拡大した鳥貴族(鳥貴族HD:3193)も例外ではなく、2021年7月第3四半期(Q3)決算において経常利益▲20億円と過去最大の赤字を計上しました。Q2比でQ3は経常利益の赤字額が約▲10億円増加しています。

緊急事態宣言の解除後も外食店でのアルコールの提供は制限されるため、Q4も厳しい状態の継続が予想されます。ただし2021年7月期Q3時点で純資産合計42億円が残されており、四半期で10億円レベルの赤字を計上しても、あと1年間は経営の維持ができる状態です。また鳥貴族は緊急事態宣言の間は営業を見合わせていましたが、2021年6月21日より営業を再開しておりQ4は状況の改善が見込まれます。

【新業態】チキンバーガー専門店「TORIKI BURGER」を8月に開業

居酒屋の苦戦が続く中で、鳥貴族は新業態としてチキンバーガー専門店「TORIKI BURGER」の8月開業を3月に発表しました。その後、第1号店は東京・大井町に出店すると報じられています。

「TORIKI BURGER」は2022年7月期から事業を展開して、3年で20億円を投じて10~20店舗体制とすることを目的としており、鳥貴族と同レベルの事業へ育成予定です。

今後の事業展開が期待されるものの、現状では未出店の状態であり、当面はこれまで通り居酒屋の「鳥貴族」が同社の行方の鍵を握ります。

ワタミは一気に居酒屋から焼き肉店に業態展開を行い勝負に出ましたが、一方で鳥貴族は慎重に新業態のチキンバーガー専門店を展開します。

つまずきは2017年10月の値上げから?

鳥貴族はかつて大阪でも郊外にある居酒屋として知られていました(現在も本社は大阪市)。その後、国内のデフレ経済の進展もあり、先述した通りメニューが単一価格で提供されコストパフォーマンスの高い居酒屋として人気となります。2014年7月のIPO後に店舗数は急拡大しました。

その後、売上高は2014年7月期146億円から2017年7月期293億円と3期で倍増しました。ただし2017年7月期は出店の増加にともなう販管費の増加から増収減益となったことなどを受け、2017年10月に全品280円を298円に、28年ぶりの値上げを実施しました。

当時、利用者の間で賛成と反対で大きな論争となった鳥貴族の値上げでしたが、それだけ当時の鳥貴族が人気だった証です。ただし今振り返れば、値上げがつまずきの第一歩ということになります。

結果的に鳥貴族は値上げでバブル的な人気が落ち着きました。一時は店に入るのに何時間も待つ必要のあった繁華街の人気店ですら、予約なしで入れるようになり風景が一変します。そして値上げにより売上の拡大はなされながらも、利益額の減少が続きました。

それでも2019年7月期は新規出店を止めて店舗のスクラップ&ビルドを行い、経営状態が上向き始めます。しかし新型コロナウイルス問題が2020年に入り発生して、2021年7月期Q3は経常利益▲20億円の赤字を計上するに至りました。

コロナ禍で目標を下方修正 新業態に20億円の投資

(/mwimgs/9/a/-/img_9a0f25798a75034835e1e72500f26e22115200.png)

拡大する(/mwimgs/9/a/-/img_9a0f25798a75034835e1e72500f26e22115200.png)

【出典】株式会社 鳥貴族ホールディングス「中期経営計画(2021年8月~2024年7月)」

2017年10月の値上げは当時の景気状況及び同社の経営状態を考えれば妥当な判断だったとも考えられますが、結果的に同社の経営の潮目が変化する出来事となってしまいました。

新業態で次の潮目を呼び込むことができるか?

鳥貴族はIPO、そして急成長というよい流れが続いた後、2017年10月の全品値上げで潮目が変わり、その後は成長の波に乗れていません。コロナ禍は鳥貴族だけではなく居酒屋業界全体の問題ですが、同社としては店舗のスクラップ&ビルドが一段落して反転攻勢しようとしたタイミングでコロナ禍を迎える不運も重なりました。

コロナ禍で苦しい経営を余技なくされる鳥貴族は、チキンバーガー店の展開で次の潮目の変化を呼び込むことができるのか、今後の行方が注目されます。

参考資料

2021年7月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)(https://ssl4.eir-parts.net/doc/3193/tdnet/1987988/00.pdf)

2021年7月期 第2四半期決算短信〔日本基準〕(非連結)(https://ssl4.eir-parts.net/doc/3193/tdnet/1941564/00.pdf)

株式会社 鳥貴族ホールディングス「中期経営計画(2021年8月~2024年7月)」(https://ssl4.eir-parts.net/doc/3193/ir_material/156267/00.pdf)

日本経済新聞「『トリキバーガー』東京・大井町に(2021年6月16日)(https://www.nikkei.com/article/DGKKZO72916060V10C21A6LKB000/)

2014年7月期 決算短信」〔日本基準〕(非連結)(https://ssl4.eir-parts.net/doc/3193/tdnet/1180315/00.pdf)

2017年7月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)(https://ssl4.eir-parts.net/doc/3193/tdnet/1514087/00.pdf)

Business Journal(株式会社サイゾー)「鳥貴族、28年ぶり一斉値上げの『本当の理由』」(https://biz-journal.jp/2017/09/post_20613.html)

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