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年々上昇!? 子供を大学に行かせている家庭の年収はどのくらいか

LIMO / 2021年7月7日 19時35分

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年々上昇!? 子供を大学に行かせている家庭の年収はどのくらいか

大学(学部)への進学率は年々上昇し、文部科学省の「令和2年度学校基本調査調査結果」では過去最高の54.4%に。子供が進学したいなら希望を叶えたいと思うのが親心ですが、そのための資金はそう簡単に準備できるものではありません。筆者も小学生の子供が2人いますが、2人分のこれからの教育費を考えると、本当に頭が痛くなります。

今は親世代と比べると、給付型の奨学金制度も充実してきています。とはいえ、たとえば文部科学省の高等教育の就学支援制度は住民税非課税世帯やそれに準ずる世帯が対象ですから、幅広い層で利用できる制度ではありません。

そのため、やはり教育資金は計画的に準備していくことが必要だと思われます。では、大学にかかる費用はどのくらいなのでしょうか。大学生がいる家庭の年収の平均とあわせ、文部科学省と日本学生支援機構の調査結果から見てみましょう。

国立・公立・私立大学の費用はどのくらい違う?

文部科学省の「私立大学等の令和元年度入学者に係る学生納付金等調査結果」によると、定員1人当たりの平均初年度納付金の合計額(注1)は、文科系学部で約117万円、理科系学部で約155万円、医歯系学部で約480万円、その他の学部で約145万円となっています(図表1参照)。

(注1)授業料、入学料(初年度のみ)、施設設備費が含まれる。

図表1:私立大学の定員1人当たりの平均初年度納付金の合計額

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拡大する(/mwimgs/6/c/-/img_6c0c10a3a92be49eed2a7475a07483d681425.jpg)

出所:「私立大学等の令和元年度入学者に係る学生納付金等調査結果」(文部科学省)

一方、国立大学の授業料は、文部科学省令で定められた金額を標準(標準額)として、各国立大学がそれぞれ金額を設定することになっています。

ただ実態は、ほぼすべての大学で標準額が適用されており、どの学部であっても基本的に授業料・入学金は変わりません。具体的には授業料は約53.5万円、入学料は約28万円です(図表2参照)。なお、公立大学は大学がある地域の住民かどうかで入学金に違いがある場合があります。

図表2:国立・公立大学の初年度納付金の合計額

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拡大する(/mwimgs/5/b/-/img_5b1d517c4e61617633c8c5fec447da3d42431.jpg)

出所:「国公私立大学の授業料等の推移」(文部科学省) 注:公立大学入学料は地域外からの 入学者の平均

これをもとに卒業までの4年間にかかる概算費用を出すと、国立大学242万円、公立大学254万円(注2)、私立(文系)400万円、私立(理系)543万円で、単純計算でも私立は国公立の約2倍となっています。なお、国立・公立では学校によって施設設備費が別途必要になる場合があります。

(注2)地域外からの入学者の平均。

大学生がいる家庭の平均収入は年々上昇

次に、日本学生支援機構の「平成30年度学生生活調査」(対象:全国約9万5000人の大学・短大・大学院生)で、学生の家庭の年間平均収入額を見てみます(図表3参照)。

すると、大学(昼間部)の平均は862万円。しかも、平成26年824万円→平成28年830万円→平成30年862万円と、大学生がいる家庭の平均年収は年々上昇していることが分かります。

厚生労働省の「2019年 国民生活基礎調査の概況」によると、世帯主の世代別にみた1世帯当たり平均所得金額は40代で695万円、50代で756万円ですから、大学生のいる家庭は比較的収入が高いといえるでしょう。

一方、進学先別に見た学生の家庭の年間平均収入額は、国立854万円、公立750万円、私立871万円。国立と私立の差は17万円で、それほど大きくはありません。国立や私立と比べると公立が若干低い数字とはいえ、750万円といえば一般的には十分高い年収です。

将来の大学入試を見据えて小学校の低学年から塾に通い、中学受験をする家庭も増えてきていますし、公立中学でも塾に通う子供は少なくありません。そのためには相応の資金が必要なのは言うまでもないでしょう。

図表3:学生の家庭の年間平均収入額

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拡大する(/mwimgs/4/f/-/img_4fda14f3cbda7e6c0bd0c671793f35f545042.jpg)

出所:「平成年度学生生活調査結果」(独立行政法人 日本学生支援機構)

1人暮らしの割合が高い国公立

また、自宅から通える範囲内に子供が志望する大学があれば良いのですが、なかなかそうはいかないものです。文部科学省の「令和2年度学校基本調査」によると、全国にある大学数は795校で、その内訳は国立86校、公立94校、私立615校。

その多くが大都市圏に集中していることを考えると、地方住まいの場合自宅から通える場所にある大学はかなり限定されるでしょう。まして、私立に比べて数の少ない国公立大学の場合は、親元を離れた一人暮らしになるケースは少なくないでしょう。

実際、日本学生支援機構の調査でも、自宅から通学している学生は、私立が64.5%なのに対して国立は33.8%、公立は43.8%。国立大学では約7割が自宅以外という結果になっていますので、大学進学の資金準備には学費だけでなく生活費が必要になることも頭に入れておく必要があります。

おわりに

経済的なことだけを考えると、小学校から大学まで公立・国立で進んでくれたらと助かるのにと、ついつい考えてしまいます。しかしながら、難関を突破するためには相応の投資も必要だということを、親自身も認識しておかねばならないでしょう。

また、大学費用にばかり目が行きがちですが、選ぶ大学によっては一人暮らしなど学費以外のお金が必要になる場合もあります。国公立に進学できたとしても決して安くはない教育費、準備するのに早過ぎるということはありません。子供の進路希望に合わせ、計画的な対策を練ることが大切だといえそうです。

参考資料

令和2年度学校基本調査(確定値)の公表について(https://www.mext.go.jp/content/20200825-mxt_chousa01-1419591_8.pdf)(文部科学省)

令和元年度 私立大学等入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果(https://www.mext.go.jp/content/20201225-mxt_sigakujo-000011866_1.pdf)(文部科学省)

国公私立大学の授業料等の推移(https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/__icsFiles/afieldfile/2017/12/26/1399613_03.pdf)(文部科学省)

国立大学等の授業料その他の費用に関する省令(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=416M60000080016)(文部科学省)

平成30年度学生生活調査結果(https://www.jasso.go.jp/sp/about/statistics/gakusei_chosa/__icsFiles/afieldfile/2020/03/16/data18_all.pdf)(独立行政法人 日本学生支援機構)

2019年 国民生活基礎調査の概況(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa19/index.html)(厚生労働省)

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