固定資産税の還付とは?還付成功の事例も税理士が解説
LIMO / 2022年3月12日 18時45分
固定資産税の還付とは?還付成功の事例も税理士が解説
固定資産税は、地方税法の規定により賦課期日(毎年1月1日)現在の登記簿等に所有者として登記されている人に対して課税されます。
この固定資産税は、役所が計算してくれるものなので、皆様は納付書がお手許に届いたら期日までに納付されるというのが通常です。
今回は通常通り納付するお話ではなく、不動産購入後に支払った固定資産税を市町村から還付してもらう「固定資産税還付」についてお伝えしていきます。
固定資産税の計算
そもそも固定資産税は基本的に土地も建物も、固定資産の評価額(課税標準額×1.4%)で計算されます。
中古物件の土地については、マイホームや賃貸マンションの居住用部分に関して「住宅用地の特例」があり、次のように課税標準額が軽減されます。
上記が原則となります。
固定資産税の還付成功の事例
弊社で実際にあった固定資産税還付の事例をご紹介させて頂きます。
ある日、中古物件を5年前に購入されたA様から固定資産税が適正に課税されているかどうかのチェックの依頼を受けました。
まず、調査に必要な土地と建物の登記簿謄本と固定資産税の納税通知書を準備してもらいました。
書類をチェックしていくと、A様が所有していたマンションはすべて居住用の建物にもかかわらず、住宅用地の特例が適用されていない部分が見つかりました。
住宅用地の特例が適用されていないことは、固定資産税の納税通知書の住宅区分の欄に「小規模住宅・商業地等」と書かれてあることで分かりました。
小規模住宅については、上記の通り課税標準額が6分の1に軽減されますが、商業地等については一切軽減措置がありません。
つまり、本当は土地の全部が小規模住宅用地なのに一部が商業地等として認定されていたため、その部分だけ今まで固定資産税を多く払いすぎていたのです。
固定資産税を払いすぎていた原因とは
では、なぜこのような課税ミスがあったのでしょうか?
今回の課税ミスの原因は、建築当初までさかのぼることにより判明してきました。建築当初は、1階フロアーの一部が高齢者施設だったのです。
高齢者施設は商業施設ですので、住宅用地の特例の適用はありません。よって、現状の課税内容と一致します。
その後、高齢者施設部分が居住用フロアに改装され、すべて居住用の建物に変わり、その状態のときにA様が購入されたということです。
通常このようなケースでは、所有者から「住宅用地認定」の申請をしなければなりません。
住宅用地等に関する申告については、次の通りです。
1.住宅用地等に関する申告
固定資産税・都市計画税の住宅用地には課税標準の特例措置が設けられており、税負担が軽減されています。この特例措置を正しく適用するために、「固定資産税の住宅用地等申告書」により申告をしてください。
2.申告が必要な場合
土地や家屋の状況に変更があった場合で、具体的には次のとおりです。
(1)住宅を新築又は増築した場合
(2)住宅の全部又は一部を取り壊した場合
(3)住宅を建て替える場合
(4)家屋の全部又は一部の用途を変更した場合(例 住宅から店舗に、店舗から住宅に変更した場合等)
(5)土地の用途(利用状況)を変更した場合(例 住宅の庭であった土地を駐車場として利用するようになった場合等)
3.申告をする人
1月1日時点の土地の所有者
4.申告期限
申告が必要となる事由が生じた年の翌年の1月31日まで
ただ、上記のように申請しても翌年度から住宅用地の適用が可能と市町村から言われるケースが多いです。そこで、今回は
A様が物件を購入された時には全て居住用の建物だった
これまで、住宅用地の見直しについて、役所から確認を受けたことがなかった
という点に着目しました。つまり、最終的に還付を実現するために、「住宅用地認定の申請によってのみ次年度から変更可能です」と言われて市町村から還付のお断りをされないように考えました。
もしそう言われたら、「物件を取得した時点で、建物用途や住宅用地の説明を一切受けていない」という主張をして、下記の点について確認する方針を決定しました。
次年度から申請のみによって見直す制度だったとしても、所有者が変わった場合には確認通知する義務があったはず
制度自体、所有者は馴染みがない。本来であれば、通知義務があったのにしなかった点に問題があるのではないか
これにより、5年分の固定資産税の還付に成功し、翌年度以降も固定資産税が減ることとなりました。課税ミスは誰にでも起こりうるので、是非皆様もチェックしてみてください。
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