「老後資金」を無理なく貯める(前編)スマホ・電気代とローンの見直しからはじめよう
トウシル / 2019年12月2日 5時10分
「老後資金」を無理なく貯める(前編)スマホ・電気代とローンの見直しからはじめよう
◆執筆者
風呂内亜矢(ふろうち あや)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
CFP®認定者
「老後資金」の準備には、ある程度の時間がかかる
「お金」に関する話題で、2019年に最も注目されたのは「老後資金2,000万円問題」でしょう。「ホントに老後資金は2,000万円必要なの?」と問われれば、YESともNOとも言えません。ずっと厚生年金に加入している共働き夫婦なら、そこまで貯蓄しなくても、何とかなるパターンが多いでしょうし、独身でも、夫婦の片方のみ厚生年金に加入する世帯でも、2,000万円もいらないケースはありそうです。
ただし、逆に2,000万円でも足りないパターンもあります。つまり、「老後資金2,000万円」という数字は、さまざまな平均値から割り出された目安に過ぎず、人それぞれ、老後に用意すべき金額は異なるのです。
今回は、以上の前提を踏まえたうえで、「老後資金の準備の仕方」についてお話しします。老後資金がいくら必要になるとしても、ある程度の時間をかけて準備するのが大前提であることに変わりはありません。
準備の仕方としては、ざっくり分けると「預金(あるいは財形など)で貯める」「投資する」という選択肢があります。「投資」については後編で触れるので、先に「預金」という選択について考えていきます。
預金で準備する場合、仮に“目安”の老後資金である2,000万円を、一般的な定年にあたる65歳までに毎月の積立で貯めようとすると、貯蓄のペースは以下のようになります。
・20代の人⇒月3~4万円ずつ積み立て
・30代の人⇒月5~6万円ずつ積み立て
・40代の人⇒月7~9万円ずつ積み立て
40代の人はもちろんですが、20代でも、金額的になかなかハードルが高いことが分かります。多くの人は、マイホームや結婚資金、子どもの教育費など、さまざまな目的を持ってお金を貯めるもの。老後資金のために、これだけの金額を割き続けるのは至難のワザです。
それでも、何とか理想に近づけるには、やっぱり節約が必要でしょう。私がおすすめしたいのは、固定費を中心として、お金の使い方を見直すこと。それから、“節約に効くサービス”をフル活用することです。次から詳しく説明します。
ここからは、「節約に効くサービスや節約テクニック」を紹介します。
格安スマホに切り替える
「通話・データ料で月額1万円」「端末の分割払い分を含めると1万5,000円以上」「家族の分を合わせると数万円かかっている」といった具合に、毎月高額のスマホ代を支払っている人には、「格安スマホへの切り替え」がおすすめ。格安スマホは、大手携帯会社よりも料金プランが圧倒的に安いのが特長です。
例えば、格安スマホ会社「楽天モバイル」の場合、利用料を月額1,480円程度(※データ通信と『10分かけ放題』の音声通話がセットのプラン。初年度料金)まで低減できます(2019年11月現在)。
また、格安スマホ会社では、安い端末も販売しています。iPhoneなどのブランドにこだわらなければ、新品で2万円以下の端末も。2年間の分割払いだと月額700円ほどなので、1,480円の料金プランと合わせても、スマホ関連の支出が月額2,000円強に収まります。特に、子どもを含め、複数人でスマホを使用している家庭は、節約効果が2倍、3倍になるので、切り替えによる影響を大きく感じられそうです。
ライフスタイルに合わせて電気の契約を切り替える
電力自由化により、異業種から電力業界に参入する会社が増え、電気料金も多様化。電力会社を変更すると、従来の電力会社で契約していたときより、電気代を抑えられるケースが増えました。
例えば、「楽天でんき」は基本使用料がなく、使った分だけ料金を支払うシステム。家族構成や生活リズムなどによっても異なりますが、平均で月額500~1,000円程度は節約できるパターンが多くなっています。特に、独身一人暮らしや、子どものいない共働き夫婦など、日中は留守になりやすい世帯は、検討する価値があるでしょう。
保険を見直す・年払いにする
結婚や子どもが生まれたことをきっかけに、保険に加入する人が多いですが、定期的に見直しをしているでしょうか。保険は次々と新しい商品が開発されていますし、とりわけ、対面ではなくインターネットで申し込める保険は、保険料が安くなっています。5年に1回程度は見直しをして、安く必要十分な保険に切り替えていくべきでしょう。それで保険料が数千円単位で安くなることも珍しくありません。
見直しに伴って、おすすめしたいのが保険料の「年払い」。月払いで保険料を払う人は多いですが、1年分をまとめて支払う年払い方式に切り替えると、保険料が2~3%安くなることも。ちなみに、国民年金保険料やNHKの放送受信料も、年払いにすると安くなります。
住宅ローンを借り換える・家賃交渉をする
固定費を節約する方法をいくつか挙げましたが、最大の固定費といえば「住居費」です。持ち家の場合、「住宅ローンの借り換え」も検討を。ローン期間が10年以上、残高が1,000万円以上で、借り換え前後の金利差が1%以上であれば、借り換え時にかかる手数料を考慮しても、借り換えをしたほうが返済総額を減らせる可能性が高くなります。
賃貸の場合、周辺の同じようなタイプの物件を調べて、家賃の相場を把握し、「家賃交渉」を試みるのも手。人気物件だと難しいかもしれませんが、同じ建物の別の部屋が安く貸しに出されているような場合は、値下げをしてもらえる可能性が高くなります。更新のタイミングを狙って挑戦してみるといいですね。
決済方法を見直して“ポイ活”
最後におすすめしたいのは、日々の決済方法の見直しです。これまで現金払いが基本だった人は、クレジットカードや国際ブランド付きのデビットカード、プリペイドカード、あるいはコード決済を、なるべく利用してみましょう。そうすれば、利用額に応じてポイントが貯まり、その分だけ節約したのと等しくなります。
最近は、税金から家賃まで、あらゆるものが「クレジットカード払い可」になっています。人気の「ふるさと納税」をしてもポイントが貯まります。今後、引っ越し先を探すときは、家賃のクレジットカード払いが可能で、ポイントも貯められる物件を選ぶといいかもしれません。UR賃貸住宅の家賃の支払いで、共通ポイントの「Pontaポイント」が貯まるようになりましたが、今後、家賃でポイントを貯められる物件は増えていく可能性があります。
水道光熱費も、口座振替や納付書払いにしている人は、クレジットカード払いに切り替えたほうがお得。また、少額の買い物でも、常にキャッシュレス決済にするといいでしょう。特に、2020年の6月までは、消費税の増税に伴って「キャッシュレス・消費者還元事業」が実施されており、キャッシュレス決済をすると、現金払いでは受けられない還元を受けられる店舗が増えています。私自身、極力キャッシュレス決済をして地道な“ポイ活”を続けており、今ではATMを利用することは、ほとんどなくなりました。
例えば、各種固定費や生活費などで月に20万円使っていたとして、そのすべてを「楽天カード」(通常の還元率は1%)で支払ったとすると、最低でも月に2,000円分のポイントが貯まります。
「楽天カード」は楽天市場の利用時に還元率が3%になりますし、ポイントを大幅加算できるイベントなどもあるので、計画的に買い物をすれば、もっとポイントを稼ぎ、節約につなげることができるでしょう。
「老後資金」を無理なく貯める(後編)「投資」をはじめてみようを見る>>
(風呂内亜矢)
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