参加国から不満も「大阪万博」で見えた日本の問題 日本には万博を開催する余裕はすでにない
東洋経済オンライン / 2023年11月30日 7時0分
2025年4月に開幕する大阪万博に暗雲が立ち込めている。11月半ばにはメキシコとエストニアが撤退したと日本政府が表明したほか、万博の建設費は膨らみ続け、建設費が当初に比べて最大500億円増えることが判明。パビリオンの建設をめぐっては参加国からも不満の声が噴出し始めている。
ヨーロッパの倉庫より高い
1平方メートルあたり80万円――。これが大阪万博の「タイプX」パビリオンの現在の価格だと、あるプロジェクト関係者は言う。タイプXはパビリオン建設の業者を見つけられず、予算にも限りがある参加国へ万博主催者側が提案したものだ。建設は博覧会協会が代理で行う。
ところが、これが新たな紛争の火種となっている。1平方メートルあたり80万円というタイプXは、期間限定の建物にもかかわらず、ヨーロッパの基本的な倉庫よりも10倍も高いのだ。
ターナー&タウンゼントの建設価格表によれば、タイプXパビリオンの建設費は、リゾートホテルや高級車のショールームよりも高く、東京の総合病院の2倍もする。「主催者は参加希望国を助けるのではなく、金をむしり取ろうとしているのか?」とある万博関係者は話す。
2018年11月23日、大阪が2025年万博の開催を決めたとき、日本人は素朴にプロモーションのチャンスだと考えた。大阪万博を支援する企業は、世界的な評判が高まることを期待して熱狂的に参加した。
だが、実際には大阪は2つの下位候補(ロシアのエカテリンブルグとアゼルバイジャンのバクー)に勝っただけのことだった。この3都市の経済的な重みを考えれば、トヨタがスケートボードと自転車に勝ったようなものだ。
スマートフォンであらゆる発見がワンタッチでできる時代、ほとんどの大都市は万博にもう存在意義がないと考えている。経済的にも、万博における二酸化炭素排出量的にも、日本には主催する余裕などないのだ。万博は、大阪で初めて万博が開催された1970年に若かった人々にとっての「夢よもう一度」でしかない。
一方で、「最近の建築家は、社会や地球にとって持続可能で意味のあるものを作りたがっている」と日本の建築家ユニット、アトリエ・ワンの塚本由晴氏は語る。
前進がなかった国際参加者会議
大阪万博は輝きを放つ機会ではなく、最悪の日本のショーケースと化し始めている。これは日本を世界に示す場であるが、最終的には好意よりも恨みを買う結果になるかもしれない。企業にとっては、イメージアップどころかイメージダウンに終わるかもしれない。
この記事に関連するニュース
-
あと1年を切った大阪万博 建設遅れやコスト増が課題に
財界オンライン / 2024年4月24日 18時0分
-
大阪万博の華「タイプA」参加国が3分の2に→芝生広場案が浮上…それでも吉村府知事ヘラヘラ軽口
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月15日 11時15分
-
万博・海外館、着工3割弱 13日で開幕1年前、遅れ深刻
共同通信 / 2024年4月12日 20時31分
-
批判も多い『大屋根リング』設計・監修した藤本壮介氏に聞くリングの意味とは?そして『本人そっくりアンドロイド』石黒浩教授が手掛けるパビリオンの今 万博成功のカギを握る2人を直撃
MBSニュース / 2024年4月12日 17時7分
-
海外パビリオンの今 "循環型"を目指すオランダ...閉幕後に解体した建物の資材が「再利用可」 施工するゼネコン「聞いたときは驚いた」
MBSニュース / 2024年4月12日 16時34分
ランキング
-
1周りの人にどう思われているか気になります…他人の評価に「一喜一憂」しないためにはどうしたらいいですか?【現役住職の“天晴れ”な答え】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年5月4日 13時0分
-
2箱根にフロントもない「無人ホテル」開業 〝不便さ〟感じる? 記者が体験してみた
カナロコ by 神奈川新聞 / 2024年5月4日 18時38分
-
3Xがニュース投稿をAIで要約…活用する対話型AIグロックは「間違える可能性もある」
読売新聞 / 2024年5月4日 19時24分
-
4【お得で安心】メーカー“公式中古品”の魅力 家電や服、ピアノも『every.気になる!』
日テレNEWS NNN / 2024年5月4日 9時30分
-
5「工程見直しや調達先変更…」円安が中小企業を直撃、工夫も限界に
産経ニュース / 2024年5月4日 18時27分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください