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西武ライオンズ「若手の伸び悩み」解消する新挑戦 12球団最多20人がFA"流出"「人材開発」驚く全貌

東洋経済オンライン / 2023年12月3日 8時0分

西武は1980年の所沢移転時の監督で、“球界の寝業師”と言われた根本陸夫氏の影響で独特のドラフト戦略を持つと言われる。そこに入団後の育成が噛み合い、「スケールの大きい選手が出てくる」のが伝統的な強みだ。

横浜で選手、コーチとして長らく在籍した秋元ディレクターは、西武に来てその特色を感じると話す。

「他球団の場合、『この選手は足りない能力を身につけないと、一軍では活躍できない』と最初からアプローチをかけることが結構あります。でも最初から足りない部分を埋めていこうとすると、いいところを伸ばさないまま平均的な選手になることもある。

対してライオンズは、『プロに入ってきた時点でこの能力が一番秀でているから、この力が突き抜ければ一軍で活躍できる』と考えます。まずはスケールを大きくさせて、一軍レベルに達すれば足りないところを埋める時間は後からできますからね」

そうして大成したひとりが“おかわり君”こと中村剛也だ。175cm、102kgの巨漢で、入団した球団によっては真っ先に減量を命じられただろう。

だが、西武は持ち前のパワーを活かそうと考え、そのままの体型で長打を狙わせた。

極論すれば、4打数のうち1本塁打、3三振でいい。そう育てた結果、中村はNPB史上最多の2066三振を喫した一方、同12位の471本塁打を記録。本塁打王に通算6度輝き、40歳になった今も長距離砲として輝きを放っている。

中村以外にも、栗山巧、浅村栄斗、秋山翔吾、山川穂高、森友哉など、スケールの大きな打者が西武から数多く育っている。

だが、主力が一定の登録日数を満たした後、FAになって退団していくのが悩みの種だ。

浅村は東北楽天ゴールデンイーグルス、秋山はシンシナティ・レッズ(現在は広島東洋カープ)、森はオリックス・バファローズに移籍した。

年俸面に加え、所沢という立地(地方遠征の場合、新幹線の東京駅や品川駅、飛行機の羽田空港まで1時間以上かかるなどアクセスが悪い)、元編成責任者が交渉時に心無い発言をしていたことなどが理由と考えられる。

「枠」の中で戦いを繰り広げるのがプロ野球の特徴

プロ野球の特徴は「枠」の中で戦いを繰り広げることだ。

一軍登録数は31人、ベンチ入り人数は26人、支配下選手は70人などという制限の中で12球団がしのぎを削っている。

一軍に登録できない育成選手は無制限に抱えられるが、1人の育成選手につき年間1000万円程度のコストがかかるとされる。

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