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西武ライオンズ「獅考トレーニング」驚きの全貌 「育成」を成功させ、優勝争うチームになれるか

東洋経済オンライン / 2023年12月3日 8時1分

かたや、二軍で燻っているなかには考える力が不十分の選手が少なくない。坂井氏は研修で多くのアスリートと接し、後者にこそ思考トレーニングが必要だと痛感している。

「現時点で結果を出せていないアスリートは、おそらく今のやり方を続けていてはダメです。フィジカルが圧倒的に優れているわけでもなく、センスがものすごいわけでもないなら、頭を使うしかありません。どんなスポーツやチームでも、そうした選手たちが座学研修の対象になっているケースが多いです」

西武で思考力を武器に台頭したひとりが、右腕投手の平良海馬だ。

沖縄県立八重山商工高校時代は甲子園出場に程遠かったが、高卒5年目の2022年に34ホールドで最優秀中継ぎ投手に輝くと、今年は先発転向して11勝をマークした。

高校時代に無名だった平良がプロ5年目までに大きく飛躍した土台には、思考力があると坂井氏は感じている。

「平良投手は研修でも真剣に取り組んでいました。頭を使い、工夫したタイプだと思います」

平良自身によると、中学生の頃から深く思考するタイプだった。その意味で最もわかりやすいのが体格だ。

身長173cmとプロの投手として小柄ながら、ウエイトトレーニングを重ねて100kg以上の体重を獲得(※球団公式発表は93kgだが、本人はもっとあると発言)。身長が伸びないなら体重を増やそうと取り組み、最速160km/hを投げられるようになった。

さらに70万円で弾道計測器のラプソードを購入して変化球を磨き、データ分析会社と契約するなど探究心旺盛だ。

こうした姿勢こそ、プロで瞬く間にトップに上り詰められた要因と言える。

「必ずしも研修を真剣に受けなくてもいい」

一方、研修に出ても、真剣に耳を傾けない選手もいる。

「愛斗、いいか。研修が嫌だったら早く一軍に行け。だけど、今の世の中ではこういう研修を受けなきゃいかんのだ。そういう世の中に変わったんだ」

2015年ドラフト4位で花咲徳栄高校から入団した愛斗は研修中、斜に構えた態度をとり、ファームディレクターを務めていた横田久則氏に注意されたことがあるという。

実際、スポーツ選手には座学が苦手な者も少なくない。学校や会社なら「真剣に聞け」と咎められるだろうが、アスリートの特徴を踏まえると、必ずしも研修を真剣に受けなくてもいいと坂井氏は言う。

「頭を使って強くなるタイプの選手もいれば、ヤンチャで破天荒なタイプで成功する選手もいるからです」

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