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西武ライオンズ「獅考トレーニング」驚きの全貌 「育成」を成功させ、優勝争うチームになれるか

東洋経済オンライン / 2023年12月3日 8時1分

確かに、プロの世界で突き抜けるなかには“宇宙人”と言われるタイプがいる。

周囲には何を考えているのかわかりにくいものの、抜群の身体能力やセンスで飛び抜けた成績を残すのだ。結果がすべてのプロ野球では、それで良しとされる。

坂井氏は、3分の1がこのタイプに当たると感じている。筆者の感覚ではもっと少なく、5分の1だろうか。

愛斗は長打力、強肩、守備範囲など高い身体能力を備え、2021年に97試合出場と飛躍。翌年には121試合に起用され、レギュラー定着を期待された。だが、ボール球に手を出す傾向が強く、2023年は73試合と出番を減らしている。

課題克服の後押しとして「考える」機会を設ける

スポーツの難しい点は、課題が明らかでも、克服する方法は簡単に見つからないことだ。

その原因は思考にあるのか、技術不足か、あるいは両方か。愛斗が頭を使うタイプか、破天荒タイプかはわからないが、壁を乗り越えなければレギュラー定着には至らない。

球団はその後押しとして練習メニューの提供、思考トレーニングなどの機会を設けるが、選手は個人事業主であり、どの方法を選択するかは最終的に彼ら自身に委ねられる。

この点がプロ野球という組織で人材開発を行う難しさだ。

結局、選手自身が考えて行動し、結果を出すしかない。だからこそ西武は「主体的に取り組める」選手を育てようとしている。

では改めて、「考える」とはどんな行為だろうか。

野球界の指導でも「ちゃんと考えろ」と軽々しく使われるが、深く掘り下げる機会は決して多くない。だからこそ、坂井氏は「ちゃんと考えるべき」と指摘する。

「考えるとは、構造化するということです。何がどうなっていて、どのようにできているか。そうやって考えることを通じ、自分の現状を把握します。そもそも自分はどこを目指しているのか? 周りから何を期待されているのか? 両者を比較し『私は今やっていることを続けるべきか? やめるべきか?』と整理する。これが『ちゃんと考える』ということです」

ちゃんと考える先に、主体性の獲得がある。

球場での華やかなプレーと異なり、西武が行っているような取り組みはなかなか表に出ないが、だからこそアマチュアの選手たちに目を向けてほしいと坂井氏は続ける。

トップアスリートは「技術」と同時に「頭」を鍛えてる

「プロならではの恵まれた設備や技術指導に目が行きがちですが、トップアスリートは同時に頭を鍛えています。

いわゆる三拍子がそろった選手はなかなかいません。体が小さくてもセンスの高い選手がいるとして、そこに思考力を加えれば2つの軸ができます。

体というひとつの要素が劣っていたとしても、十分に戦える。プロでもそういうアプローチをしているところがあると知れば、身体的に恵まれない選手の希望になると思います」

恵まれた才能を評価されてプロ入りする選手たちの中から、どのようなタイプが突き抜けていくのか。

その答えがわかっているからこそ、西武は「考える力」を身につけさせようとしている。

*この記事の1回目:「西武ライオンズ『若手の伸び悩み』解消する新挑戦」

中島 大輔:スポーツライター

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