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「起業は自己実現、でも経営は修行」である理由 元起業家・起業家・私設図書館長が組織論を語る

東洋経済オンライン / 2023年12月8日 10時30分

あと70人とかいると、人間同士の関係調整。あいつとあいつが仲悪いとか。給料も俺が決めてたけど、なんで自分は彼より下なのかとか言われて。めんどくせぇから俺、数式作ったのよ。その数式に当てはめてやったら全然実態とそぐわない数値しか出てこない。エビデンスベースドなんてのはまやかし。印象と実感を取りこぼしてしまうからね。だから難しいんだよね。

青木:起業家精神は表現活動に近しいということなんでしょうね。

平川:起業家はそうだよ、ロマンチシズムで。ああしたいこうしたいって金引っ張ってきてね。それは僕もすごい興味があった。やってて面白かった。だから俺十いくつも会社立ち上げたんだけどさ。それが仕事だったんだよ。だけど持続させていくのは全然違う話。それから第2次成長、さらに発展させていかねばならない。その段階によってやるべきことが全然違うんだよね。でもその道のプロみたいなのを連れてくると、会社の文化は死んじゃうからね。お話をお伺いしていると、栗原さん自身に文化があるから会社の文化がありそうだね。企業文化は大事だよ。

青木:企業文化を保ったまま、市場のニーズとか株主のニーズに囚われず、身の丈の成長を目指したいんですけれど。

平川:それは難しいのよ。会社の目的は2つあって、1つは利益の最大化。公開していれば株主利益の最大化だし、公開していなければ経営者一族、社員の利益の最大化。これを目指さなかったら会社じゃないんですよ。

ところがもう1つあって、それは存続させることなんだよね。会社がこれから持続的に存続していけるかどうか。自己利益の最大化っていうのは瞬間風速で作ることができるんだけど、下手にやると会社の信用を失う。そうすると持続しなくなってしまう。自己利益はバランスシートに書かれるんだけど、信用ってどこにも書かれないのよ。形がないから書きようがない。でもその信用と自己利益のバランスを取りながら、どうやって持続させていくのかっていうのが会社経営なんですよ。

でもそれがなかなか難しい。昔の商人が「損して得取れ」とか言うじゃない。やっぱりすごいなと思うんだよね。ちょっと損しても、インビジブルアセット、見えない資産は増えてるんだっていう話なんだよ。この見えない資産が増えているのか減っているのかがわかるのが経営者じゃないかと思うんだよ。こういうのは口では言えるんだよ(笑)。現場入るとそんなこと考えられなくなっちゃう。

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