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経済学者が考える良いモデルと悪いモデルの違い データを使って世の中の出来事を分析するには

東洋経済オンライン / 2023年12月11日 10時0分

モデルで経済を分析することには、どのような利点があるのでしょうか(写真:ふじよ/PIXTA)

経済学の分野で、革新的な業績をあげ続けているスーパースターのチームが、大学の学部生のために執筆した教科書がある。『アセモグル/レイブソン/リスト 経済学』だ(日本語版は入門経済学/ミクロ経済学/マクロ経済学の3分冊で刊行)。

一流の経済学者は、これから経済学を学ぶ初心者にどんなことを教えようとしているのか。その一部を、抜粋・編集して紹介しよう。

大学には、進学する価値はあるのか?

大学に進学するのは大きな投資だ。

【写真を見る】経済学のスーパースターのチームが書いた経済学の教科書

学費はコミュニティ・カレッジ(地域の公立教育機関)で年間2500ドル、公立大学で年間5000ドル、私立大学なら約2万5000ドルかかる(1ドル150円で換算すると、それぞれ37万5000円、75万円、375万円)。

それだけではない。1時間の労働の価値を10ドル以上とすれば、大学教育の機会費用(大学に行かずに時給10ドルの仕事をした場合の費用)は合計で年間2万ドル以上になる。

大学教育を投資ととらえるならば、その見返りをどう考えればいいだろうか? 「教育の便益」とは何だろうか? それを測定する方法はあるのだろうか? 

モデルとデータを使ってこの疑問に答えていこう。

経済学の第3の重要な原理は経験主義である。これは、データを使って世の中の出来事を分析するということだ(前回述べたように、第1の原理は最適化、第2の原理は均衡)。

経験主義は、すべての科学的分析において重要な概念である。

経済学者、社会科学者、自然科学者が以下のことを行うために使う一連のプロセスを科学的方法と言う。

1. 世の中の出来事を表すモデルを考え出す。

2. データを用いてそのモデルを検証する(モデルとデータが一致するかどうかを評価する)。

経済学者は、このプロセスで世の中を示す「真」のモデルを明らかにできると期待しているわけではない。世の中は非常に複雑だからだ。

経済学者が期待しているのは、世の中を理解するのに役立つモデルはどれかを見つけ出すことである。データを使って検証すれば、良いモデルと悪いモデルを区別できる。

モデルとは何か

良いモデルは、データとの整合性がより高い。モデルと実際のデータがあまりに食い違うときには、経済学者はモデルを修正したり、まったく別のモデルを用いたりする。

このプロセスを経ることで、過去の出来事を説明するのに役立つモデルや、ある程度の確からしさをもって将来を予測するのに役立つモデルを見つけることができる。

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