仇敵・島津久光を屈服させた西郷隆盛「人望」の力 言葉を介さず存在そのもので納得させる凄み
東洋経済オンライン / 2023年12月13日 10時30分
明治維新の英傑である西郷隆盛は、かつて自身を2度にわたり島流しにした島津久光と交渉し、版籍奉還(藩主が領地と人民を朝廷に返すこと)を認めさせました。島津久光が権力を手放すことに同意させた西郷の力について、『小説 人望とは何か?』より一部抜粋・編集のうえご紹介します。
「幕府」という価値観からの脱却
組織のリーダーに求められる要素の一つに「価値観を示すことができる」というものがあります。別の言葉でいえば、世界観をつくることができる人物です。
世界観をつくるということは、たくさんの考えや立場の違う人の矛盾を乗り越えて、共存できる世界を示すことです。これは簡単なことではありません。特に長らく安定し、固定された世界に身を置いた人たちが新しい観念を持つことは至難の業です。大企業など歴史のある組織がなかなか変革できないのも、世界観の再構築が難しいからです。そしてその難易度の高い世界観の変更を行えるのが、人望のある人です。
大きな組織が世界観を変えるには何らかのきっかけが必要になります。そのひとつは環境変化による危機です。幕末、徳川幕府によって約250年の安定を享受していた日本に大きな環境変化が起こります。それは、ペリー来航に端を発した外圧でした。
これによって、日本の人々の世界観は大きく変わります。しかし、ある日突然新しい世界観に変わったわけではなく、最初は攘夷と開国というふたつの観念が激突しました。そして、それがやがて、幕府という世界からの脱却に収斂されていきます。
しかし、この時点では「幕府」はだめというだけのもので、「幕府」を倒したあと、どんな世界が訪れるのかを示した者はいませんでした。
倒幕という目標を持った長州や薩摩も、「藩」という小さい世界をベースに行動していました。そして倒幕の機運が高まっていく中で、最初に新しい世界観を提示したのが土佐の坂本龍馬でした。
龍馬は早くから土佐藩を脱藩して横断的に活動していたので、高い視座から「日本」を見ることができました。龍馬の世界観は、「藩」を超え、「身分」を超え、誰もが平等に日本という国の方針を決めることができるというものでした(アメリカの議会民主制に影響を受けたものといわれています)。
しかし、龍馬は志半ばで兇刃にたおれます。その龍馬の後を継いだのは、西郷隆盛であり、大久保利通であり、木戸孝允でした。彼らは、政権交代という現実のもとに新しい国づくり、新しい世界観を構築していきます。
廃藩置県で大名の「最大の利権」を解体
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