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少子化対策「全国一律は無理がある」といえる根拠 「婚姻・出生」都道府県ランキングから見えたこと

東洋経済オンライン / 2023年12月17日 11時0分

婚姻力・出生力ランキングから見えてくる、「異次元の少子化対策」に必要な視点を紹介します(写真:pearlinheart/PIXTA)

今年の年初に政府が掲げた「異次元の少子化対策」ですが、もう間もなく1年になるというのにパッとしません。

【ランキングを見る】「婚姻率・出生率」全国平均比で高い都道府県 婚姻率2位の「東京」を抜き1位は?

出てくる内容は、少子化対策というより、子育て支援一辺倒であり、その子育て支援ですら子育て世帯にとっては児童手当の拡充があったところで、むしろ引かれる金額のほうが多く、マイナスになるという試算も出ています。

まったく少子化対策になっていないどころか、子育て支援にさえなっておらず、これでは「異次元の少子化対策」ではなく「異次元の少子化促進策」と揶揄されても仕方ないでしょう。

今起きているのは「少子化ではなく少母化」

何度もお伝えしているとおり、今日本で起きているのは「少子化ではなく少母化」であり、子どもを産む対象の女性の絶対人口の減少とともに、婚姻減による有配偶女性の減少(つまり、母親になる対象の人口の減少)によって生じています(参照:『少子化議論なぜか欠ける「婚姻減・少母化」の視点』)。

それは、つまりは、婚姻数の減少によるものであり、婚外子比率が極端に低い日本においては、婚姻数が増えなければ子どもの数は絶対に増えません。

だからこそ、少子化対策というならば、本来は若者の結婚に向けての環境整備をすることが大事になります。わかりやすくいえば、それは若者の雇用と所得の安定です。が、そうした対策は1つも出てきません。

また、対策というからには実効性が求められます。しかし、そもそも東京などの大都市と地方とでは課題自体が違うのに、それを全国一律でとらえることに無理があります。

誤解のないようにお伝えしておくと、子育て支援を否定しませんし、それはそれとしてやるべきことですが、都道府県単位でみれば、出生の多いところと少ないところがあるように、子育て支援が充実しているエリアとそうでないエリアの格差も存在します。

同様に、結婚の多いエリアと少ないエリアという結婚格差も存在します。当たり前ですが、都道府県ごとに注力すべき課題は異なるのです。

都道府県ごとに課題は異なる

今回は、都道府県別の実態に即した15~49歳での婚姻率と出生率という指標を使って、それぞれどこに課題があるのかを明らかにしていきたいと思います。

まず、一般に婚姻率といわれているものは、婚姻数を全人口で割ったものですが、これは全人口であるため高齢者が多いエリアは低くなってしまい、実態とは乖離しがちです。よって、新たな婚姻が発生しないだろうという生涯未婚率の考えに基づき、15~49歳の人口を分母とした婚姻率で比較します。

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