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半導体で終わらない!富士通の「ハード切り離し」 新光電工をJICに売却へ、残る再編の焦点は?

東洋経済オンライン / 2023年12月20日 8時30分

半導体関連子会社・新光電気工業の売却を発表した富士通。同社が”売却方針”を明言している大型案件は2社残っている(編集部撮影)

富士通グループが積み残した大型売却候補は、これで2つとなった。

【図表で見る】PC、携帯、スキャナーと、富士通はハードウェア事業を続々と売却してきた

国内IT大手の富士通は12月12日、半導体パッケージ製造などを手がける子会社、新光電気工業の保有株式をすべて売却すると発表した。富士通の現時点での持分比率は50.02%で、売却額は約2850億円に達する見込み。同社としては、過去最大級の事業売却となる。

2024年8月下旬をメドに、政府系ファンドの産業革新投資機構(JIC)が子会社を通じ、大日本印刷や三井化学と共同で、新光電工に対してTOB(株式公開買い付け)を実施。富士通はTOBには応じず、上場廃止後にその持分を譲渡する形をとるという。

新光電工には追加増資も予定されており、最終的な保有比率はJICの子会社が80%、大日本印刷が15%、三井化学が5%となる見通しだ。

8年前から売却をほのめかしていた

リリースによれば、富士通は保有株売却について2022年1月から新光電工と協議を開始し、内々で候補先の選定に着手していた。その後入札を経て、2023年11月にJIC連合への株式譲渡を決定したという。

富士通は2022年10月の決算説明会の場で、新光電工の売却を検討している旨を対外的に公表していた。さらにさかのぼれば、前社長の田中達也氏が社長に就任した2015年には、すでに新光電工株の売却がほのめかされており、実現までに8年もの歳月を要する結果となった。

ある富士通幹部は「半導体関連事業は国の経済安全保障にも関わってくる。相手先の選定には慎重にならざるをえない」と話す。売却が正式に決まるまでに時間がかかった背景には、そうした事情もあったようだ。

約300の子会社・持ち分法適用会社を抱える富士通が、以前から明確に“ノンコア(非中核)”と位置付け、売却の方針を掲げてきたグループ会社は3つある。いずれも株式上場しているFDK(富士通の保有比率は約59%)、富士通ゼネラル(同44%)、そして新光電工だ。

今回、新光電工の売却にメドがついたことで、構造改革が一歩進んだと言える。

3社の共通点は、ハードウェア機器の製造を手がけていることだ。FDKは産業用のリチウム電池やニッケル水素電池が主力で、空調機大手の富士通ゼネラルは売り上げの9割をエアコンが占める。

富士通は近年、「IT企業からDX企業に」というスローガンを掲げ、DX支援などの「サービスソリューション」分野に経営資源を集中投下している。一方、携帯電話端末やパソコン、スキャナー製造事業を相次いで売却し、ハードウェア製造から撤退する姿勢が明確だ。

ハードウェア製造を切り離す理由

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