増えるシニア婚活、60代で入会した男女3人の結末 「老後は2人で、でも手を握られるのは嫌」の現実
東洋経済オンライン / 2023年12月21日 11時40分
2023年も終わろうとしているが、この1年の婚活事情を振り返ってみると、50代、60代の入会者が前年に比べて増えた。日本の社会の行き先が見えない不安な時代に、1人で年を重ねていくならパートナーと生きていきたいと考えているからだろう。
ただ熟年婚活者は、成婚できる人とできない人に大きく分かれる。
仲人として婚活現場に関わる筆者が、婚活者に焦点を当てて苦労や成功体験をリアルな声とともにお届けしていく連載。今回は、シニア世代の婚活がうまくいく例とうまくいかない例を紹介しながら、シニア婚活を考えてみたい。
金銭的には余裕があるが
よりこ(61歳、仮名)はメーカーで部長職についていたのだが、再雇用制度は取らずに、会社を昨年定年退職した。
【図表で見る】結婚離れ加速?一生結婚するつもりはない」男女が急増
「同じ仕事を任されているのに、再雇用になったら給料が7掛け以下に減給する。それが馬鹿らしいな、と」
そう思えたのは、金銭的に余裕があったからだ。5つ下の弟は30代で結婚し家庭を持っている。10年ほど前に母が亡くなり、実家に父と2人で暮らしているのだが、退職金にプラスして、これまで貯めてきた預金が十分にあった。
加えて、同居している父の年金を今よりこが管理しているので、実質の日常生活は父の年金で2人の生活を賄うことができている。
「90歳を超えている父の年金は、私たちが65からもらう年金とは比べものにならないくらい高額なんです。父が生きている限りは、私のお金は生活のためではなく、自分の趣味ややりたいことに使えます」
では、なぜ婚活を始めようと思ったのか。よりこは初婚者なのだが、ある日の出来事が起因する。
女友達と待ち合わせをして映画を見に行った。終えて、お茶をしていると、近所付き合いをしている隣人から電話が入った。
「お父さんが庭で転んで、病院に運ばれたわ」
お茶を切り上げて慌てて駆けつけると、足の付け根を骨折した父が病院のベッドに横たわっていた。
「横たわる姿が枯れ木のようで、老いを実感しました。先はそんなに長くないだろうと。もし父がいなくなったときに、私はひとりぼっちになってしまう。そして私も歳をとって年々老いていく。身寄りは弟だけ。弟家族のお荷物になるのは嫌だなって」
それならば、一緒に歳を重ねていけるパートナーを探そうと思ったそうだ。そして、婚活をスタートさせることを決意した。
10年前の婚活市場とは違い、今はシニアの登録者も多い。60代でもお見合いはいくらでも組める状況だ。いくつかのお見合いをし、断ったり断られたりが続いていたのだが、その中でも交際に入ったしょうじろう(65歳、仮名)とは気が合ったようだ。
待ち構えている「アノ問題」
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