増えるシニア婚活、60代で入会した男女3人の結末 「老後は2人で、でも手を握られるのは嫌」の現実
東洋経済オンライン / 2023年12月21日 11時40分
3回、4回とデートを重ねていくうちに、真剣交際が見えてきていた。
ところが、あるときこんな相談が来た。
「前々から気になっていたのですが、しょうじろうさん、何かにつけて私の体に触れてこようとするんですよ。この間は手をつながれて。しばらくはつながれたままにしていたんですが、途中で美味しそうなお菓子があったのでお土産に買って、それをしょうじろうさん側の手に持って、手がつなげないようにしました」
そこで、筆者は言った。「これから結婚しようという男性と手をつなぐのが嫌だったら、1つ屋根の下では暮らせないのではないですか?」。
すると、よりこが言った。「この歳になったら、そんなベタベタするのって、気持ち悪いし、恥ずかしいじゃないですか。お茶のみ友達みたいな関係で、皆さん結婚していくのではないですか?」。
これは、よりこだけではなくアラカン女性たちからよく聞く言葉だ。ただ男性たちは、いくつになっても女性と触れ合いたいと思っている。
この世代になると、男女の性的欲求には差が出てくるようだ。性交を伴う関係においても、60代の男性では53%、70代の男性では25%がそれを求めている。ところが、女性の場合は60代が20%、70代が10%と、男女で大きな開きがある(日本性科学会、2000年調査より)。
筆者がこれまで見てきた婚活女性でいうと、男性に触れ合うのを避けたがるのは、再婚者よりも初婚者に多い。
加齢によって身体的にも精神的にも変化が生まれ、性欲は衰えていくし、男性も完璧に行為ができるわけではない。ただ、それでも触れ合いたいと思うのが男心だ。女性側にもある程度の性的欲求や好奇心がないと、シニアの結婚は難しい。
婚活よりも推し活が優先
自営業のさとえ(60歳、仮名)は、1000万円近い年収を稼いでいるバリキャリだ。2年前に、25年の結婚生活に終止符を打ち、熟年離婚をした。
「体の動くうちは仕事はしたいと思っています。仕事をするのは社会と関わりを持つことなので、生きていく張り合いになりますから」
入会面談のときに、こんなことを言っていた。1人で生活していくには困らない収入があるのに、なぜ再婚を考えたのか?
「2人の子どもも社会人になって、独立しました。子どもには子どもの人生がありますから、私が動けなくなって仕事ができなくなったときに、子どもに面倒を見てもらうのは嫌だなと思ったんです」
再婚を希望するシニア女性で、さとえのように経済的に自立しているのはレアなケースだ。結婚をして、経済面を男性に頼りたいと思っている女性たちが多い。持ち家がなかったり、離婚時の財産分与が十分な金額でなかったりすると、なおさらだ。
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