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世界はなぜ、「五ノ井里奈さん」を絶賛するのか 久しぶりに日本のイメージ改善させるニュース

東洋経済オンライン / 2023年12月21日 13時30分

外国人記者クラブでの会見に登場した元自衛隊員の五ノ井里奈さん(写真:Yoshio Tsunoda/AFLO)

日本に今、ヒーローがいるとするのならば、元自衛隊員の五ノ井里奈だろう。12月12日、福島地方裁判所が陸上自衛隊に所属していた元自衛官、五ノ井への強制わいせつ罪に問われた元自衛隊員3人に有罪判決を言い渡した。

彼女は正義のために声を上げ、揺るぎない勇気を示した。五ノ井の戦いは日本のみならず、世界でも大きく報道され、古い体質の日本が変わるきっかけの1つになるとも期待されている。

五ノ井の勝利は「自衛隊」にもプラスか

五ノ井の戦いは、自国の制度と戦わなければならなかったため、とても過酷だったに違いない。

自衛隊に入隊したとき、彼女は子どもの頃の夢をかなえた。だが、その1年後、性的暴行を受けた彼女は、加害者たち、そして彼女の訴えに耳を貸さない自衛隊の上層部、さらには委員会が起訴を強要するまでは不起訴を選択した検察官たちとの全面戦争を始めることになった。

「五丿井の長い闘いの中で、朝日新聞を除いては奇妙なことに大きく報道されなかった劇的なシーンがある。8月1日の法廷で、元上司がセクハラで告発された3人の隊員を守るために嘘をついたと公然と認めたとき、彼女は突然倒れ、病院へ運ばれた。

後に、彼女は、倒れた理由として、当時のことを思い出して苦しくなったと話した。思い出すだけで倒れてしまうほどにつらい出来事を告発した彼女の勇気を前に、元上司もその態度を改めざるを得なかったのではないか。

自衛隊でキャリアを積みたい、という若者が減っている中で、五ノ井の勝利は女性の勝利というだけでなく、自衛隊にとってもプラスになるかもしれない。

たとえば、アメリカ陸軍は、「多様性と包摂」という政策の先駆者であり、若い女性や外国生まれの人、性的マイノリティなど、自身のアイデンティティが不利だと感じている社会の大多数を惹きつけることで、同様の問題を克服した。

アメリカ軍の広告に登場した女性

例えば、2021年、アメリカ軍の広告に2人のレズビアン女性に育てられた女性兵士が登場した。後に有名になったこの広告では、女性兵士が2人の強い女性のロールモデルを持つことで(両親のことである)、女性も強くなれることがわかり、兵士になることを決意したと語っている。

広告に登場したもう1人は、移民1世の息子だった。ロイド・オースティン国防長官(偶然にも黒人)は当時、「多様性は私たちの一部でなければならない」と説明した。

日本でも自衛隊が、日本に住む移民の親を持つ子どもたちにアピールすることで、どのような恩恵を受けるか想像してみてほしい。今回の五ノ井の勝利を受けて自衛隊が自らを開かれた、安全な「職場」に変えることができれば、女性のみならず、多様な人にとって働きやすい場所になることは間違いない。

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