「初日の出を拝む」は意外に新しい習慣だった 実はよく知られていない"正月行事のしきたり"
東洋経済オンライン / 2023年12月28日 9時40分
新たな年の始まりには、多少なりとも「日本ならではのならわし」を意識するものではないだろうか? 古式ゆかしき“日本らしさ”と向き合ってみれば、多少なりとも新鮮な気持ちにもなるはずだ。
とはいえ私たちは、はたしてどのくらいその“日本らしさ”を理解しているのだろうか?
「初日の出」拝む習慣は明治時代から
そもそも日本は、農耕を主たる生業とし、四季の自然にも恵まれていたため、季節の移り変わりを非常に大切にしてきました。一年のうちにいくつものハレの日を置き、日々の生活に変化と潤いを与えてきたのです。そして、自然そのものに感謝をし、自然とともに生きる自分たちの生活の安泰を願ってもきました(中略)
そのような歴史から生まれた年中行事やしきたりは、日本人が長い歴史のなかで培ってきた、まさに生活の知恵であり、豊かな人生観の表れでもあったのです(「はじめに」より)
『新装版 日本人のしきたり』(飯倉晴武 編著、青春新書インテリジェンス)の著者がこう述べているように、伝統行事のなかにはいまなお私たちの生活に息づいているものも少なくない。
しかしその一方、いつの間にか忘れられてしまったもの、あるいは意識する機会が著しく減ってしまったものもあるはずだ。そこで、ここでは本書を参考にしながら、「正月行事のしきたり」を改めて確認してみたい。
【初日の出】年神様に一年の幸運を願う
初日の出は、新しい年を迎えるうえでとても大切な行事だ。その年に初めて昇ってくる太陽を拝み、一年の幸運を祈るべく、夜のうちから家を出て見晴らしのよい場所に向かうという方も多いに違いない。
これはかつて、初日の出とともに「年神様(としがみさま)」が現れると信じられていたことに由来します。年神様は新年の神様であり、「正月様」「歳徳神(としとくじん)」ともいって、年の初めに一年の幸せをもたらすために、降臨してくると考えられていました(37ページより)
初日の出を拝む場所は、眺めのよい山や海岸などさまざま。
とくに人気の高い山頂での日の出は、近くの雲に映ったその影が、あたかも光の輪を背にした仏の像のように見えることから、仏の「ご来迎(らいごう)」との語呂合わせで「ご来光」と呼ばれるようになったという。
なお、初日の出を拝む習慣はいまではすっかりお馴染みだが、意外なことに昔から習慣があったわけではなく、明治以降に盛んになったといわれている。
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