日本でも35人に1人が実践「前向きな離職」の正体 職場でのモヤモヤを解消する「キャリアブレイク」
東洋経済オンライン / 2024年1月4日 15時0分
一時的に雇用から離れる離職や休職など、キャリアにおけるブレイク(休憩期間)を指す「キャリアブレイク」という概念。欧米では一般的になりつつありますが、日本ではまだまだ「離職=後ろ向き」というイメージが拭えません。日ごろ職場で感じている違和感やモヤモヤを解消するための「前向きな離職=キャリアブレイク」という新しい発想について、一般社団法人キャリアブレイク研究所代表理事の北野貴大氏が解説します。
※本稿は北野氏の新著『仕事のモヤモヤに効くキャリアブレイクという選択肢 次決めずに辞めてもうまくいく人生戦略』から一部抜粋・再構成したものです。
欧州では一般的な「キャリアブレイク」という文化
「人材系の企業に新卒で入社した私は、5年目に退職を決意。
慢性的な残業や理不尽な評価制度、理想の自分やロールモデルとのギャップ、最後の年の上司と合わなかったことが決定打となった。上司の言葉によって、仕事だけではなく、自分自身や今までの人生、働いてきた過去を含めて否定され続けているように感じ、つねに自己否定状態に。
転職先を決めずに退職したのは、5年間前だけを見て突っ走って、生き急いでしまった感覚に違和感を覚えたこと、組織内でしか通用しない価値観に染まっていた自分に気持ち悪くなってしまい、立ち止まって人生を見つめ直したくなったから。
フラットになった状態で次のキャリアに進みたいと思った。
退職と同時に、オンラインのキャリアスクールに入会。貯金、失業手当などでやりくりし、新たなコミュニティーに所属したり、WEBスキルの習得をしたりしていた。
私が残業三昧で心身ともに疲弊しきっていた社畜時代を知る友人は、たくさん休んで楽しみなよ! とみんな喜んでお祝いしてくれた。
それでもキャリアブレイク中は、とてつもなくネガティブな日もあった。
SNSも見たくない、誰にも会いたくない、ひたすら寝る、自炊もお風呂も何もかも無理、この先の人生がとてつもなく不安で夜は眠れない、社会のレールから降りた私はもうダメかもしれない、みたいな自責や自己嫌悪に苛まれたときも。
一方で、自分の思考を整理でき、退職する前は見えてこなかった思考の癖や本音に気づき、自分自身を客観的に考えられるようになった。
退職して1年後、ゆるやかに仕事を探し始め、約5カ月間の転職活動を経て内定先が決まった。私にとってはキャリアブレイク中に「何をしていたか」よりも、離職期間を設けることを選んだ「気持ちや考えの変化」のほうが大事だった。
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