能登半島地震、支援者が語る「現場対応」の難しさ 孤立続き、アクセスも困難。依然深刻な地域も
東洋経済オンライン / 2024年1月15日 17時0分
能登半島地震の発生から2週間が経過したが、孤立した集落で食料や衛生用品にも事欠く被災者が現在も数多くいる。そうした中、石川県珠洲市に赴き、ニーズ調査などに従事した緑水の森支援活動・一般社団法人JAST(日本ソーシャルセラピストアカデミー)代表の大谷哲範氏に、被災者の実情やボランティア活動の課題についてインタビューした。
――今回、支援活動にかかわった経緯について教えてください。
全国社会福祉協議会から現地に派遣されているスタッフと打ち合わせの後、石川県珠洲市に赴きました。私を含めて首都圏から2人、富山県内の2人の4人体制でニーズ調査や物資支援にかかわりました。
私自身は東日本大震災時に、発災まもなくして津波被害が最も大きかった宮城県石巻市などに入り、被災者支援にかかわった経験があります。以来、現在に至るまで、心のケアやコミュニティー支援活動を続けています。
富山県小矢部市を拠点に支援活動
――今回、どのような支援活動を行いましたか。
神奈川県藤沢市の自宅を1月10日に出発し、支援拠点の富山県小矢部市に到着。当日午後から、ボランティア受け入れ環境などの整備や拠点設営に従事しました。翌11日は物資の荷下ろし、仕分けなど支援のための段取りに費やしました。そして12日早朝から被害が最も大きい石川県珠洲市に入り、支援活動に従事しました。
被災地では、最初に指定避難所となっている珠洲市の中学校や周辺の在宅被災者宅を訪ね、自治体や社会福祉協議会、フードバンクなどから提供を受けた物資を届けるとともに、被災した方々のニーズの聞き取りや意見交換を行いました。
――避難所の様子はどうでしたか。
私たちが最初に訪れた中学校は300人規模の大規模避難所で、食料は一定程度届いていました。しかし、水道は復旧しておらず、電気は自家発電のみ。被災者の方々はお風呂にも入れない状態が続いていました。
衛生用品はまったく足りておらず、清拭スプレーやウェットティッシュ、携帯用トイレ、携帯カイロなどを届けたところ、たいへん喜ばれました。
珠洲市内のさらに北東にある中学校では、被災者が暖房も行き届かない体育館で毛布にくるまって過ごしていました。隣にある公民館は新しい建物でしたが、避難所になっていませんでした。最初に体育館を避難所にする決まりがあったのだろうと考えられます。
この地区では自宅で生活する人たちが多く、いずれ公民館も開放されると思われます。ただ、外部支援者は1人いただけで、ほかは被災した住民自身が自力で切り盛りしていました。
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