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大川原化工機「冤罪事件」、国と都がまさかの控訴 捜査・立件を主導した「渦中の人物たち」の今

東洋経済オンライン / 2024年1月16日 8時0分

国と東京都の控訴を受けて原告も控訴。翌1月11日の会見で大川原正明社長(左から2人目)は国と都の控訴について「『ああ、やっぱりか』と思った」と話した(記者撮影)

東京地裁が「逮捕も起訴も国家賠償法に照らして違法」と断じた大川原化工機冤罪(えんざい)事件。判決は確定せず、控訴審で争われることになった。

【大川原化工機事件「捏造」の構図】渦中にある公安部、経産省、地検の人物たち

2023年12月27日、東京地裁(桃崎剛裁判長)は国と東京都に約1億6000万円の賠償を命じた。これに対し、国と東京都は控訴期限の2024年1月10日、午後4時台になって控訴。大川原化工機の大川原正明社長ら原告も同日午後5時に控訴した。翌11日、原告と被告の双方がコメントを発した。

東京地検の新河隆志次席検事は定例記者会見で「国が控訴していることは承知している」と述べた。大川原社長など原告らが「国や都が謝罪してくれれば控訴しなかった」としている点については「現時点でお答えは差し控える」とコメントを避けつつ、「念のために言うが、国が控訴したのであって、検察庁が控訴したわけではない」と付け加えた。

警察庁の露木康浩長官は定例記者会見で「警視庁で精査した結果、『証拠上、受け入れることは難しい』ということで上級審の判断を仰ぐことが適当との結論に至った」と発言。東京都の小池百合子都知事は記者団にコメントを求められて「大変専門的な事案で警視庁の見解を尊重することにした」と述べた。

「まだするのか。あきれた」

原告の大川原社長は東京地裁内で開いた記者会見で次のように語った。

「裁判長が深く踏み込むというより押さえるところを押さえたという判決内容からすると(国や都が)控訴しない可能性もあるんじゃないか、と思っていた。が、(国や都は)予定どおりの控訴をしてきた。『ああ、やっぱりか』という感想」

「やっぱり」の真意を記者に問われると、「落胆や憤りというより『あきれた』という感じ。『まだ(裁判を)するか』という感じ」と述べた。

2020年3月。細菌兵器の製造など軍事転用が可能な装置を、経済産業省の許可を得ずに中国へ不正に輸出したとして、横浜市にある大川原化工機の大川原社長ら幹部3人が逮捕・起訴された。

容疑は外為法違反(無許可輸出)だった。同年6月には、韓国にも経産省の許可を得ずに輸出したとして再起訴されている。

起訴後も勾留が約11カ月間続き、翌年の2021年8月に初公判が予定されていた。が、初公判の4日前に東京地検が起訴を突如取り消した。取り消した当日は、公安部と経産省とのやり取りを記した大量の捜査メモを、東京都や国が東京地裁に提出する期限日だった。

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