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全ビジネスパーソンがプレゼンを磨くべき理由 科学的に明らかにされているコミュ力の価値

東洋経済オンライン / 2024年1月24日 11時20分

私たちの産業社会は、相手への伝達・説得で成立しているのであり、それに長じるものがトップ営業マンとなり、慕われる職場のリーダーとなり、マネジャーとなり、弁護士となり、インフルエンサーとなり、政治家となる。説得の技能に長けたものが、この社会で様々に活躍をする機会を得ているのである。

2000年前から、コミュニケーション技術は最重要教養である

哲学者アリストテレスの名は広く知られていると思う。だが、氏が後世に残した主著のひとつが「弁論術」であることは、あまり知られていない。諸学の父と呼ばれ、人類史上最高の頭脳の一人と呼ばれる氏が、もっとも重視した基本素養(教養)のひとつが、弁論術なのである。

その理由は明快である。自分がものごとを知ることと、他人がものごとを知ることは等価である。さらには、正しく伝えられないことは、内容そのものが正しくないことと等しく問題だからである。だとすれば、自らが学んだことを万人に正しく伝えられることは、自らが学ぶこと自体と同じかそれ以上に、価値があることとなる。だからこそ、社会のリーダーたるべき人は、よく学び、そして、よくそれを伝えることが求められる。これが、アリストテレスも所属した当時の大学「アカデメイア」の基本姿勢なのである(2)。

アカデメイア―アリストテレスの時代以降も、説得の技術は最重要の教養という地位を譲ることはない。中世には大学における自由七科(リベラル・アーツ)、すなわち基礎的な学芸7つの1つに修辞学が位置づけられている。

現代産業社会においては、経営学の父・ドラッカーにより、他者に正しく伝え、その心を動かす、コミュニケーションの技能こそが、企業のリーダーが修めるべき技能のひとつであると位置づけられている(3)。人類史上、コミュニケーションの力が軽視されていた時代などないのだ。

コミュニケーション力とは「喋りの上手さ」ではない

プレゼンが上手いとは、科学的にはどういう現象なのか。最後に、理論の側面から、プレゼンを考えていこう。そこからは、プレゼンは単に喋りが上手いという以上の、はるかに大きな意味を持つことだということが見えてくる。

よいプレゼンとは、どういうものか。それは、分かりやすく構成が組み立てられており、エビデンスが提示されており、理屈も納得的で、資料は見やすく、場の空気も上手に作って、何より内容が充実していて、そして話もたくみであること。それはまさに、ビジネスパーソンとしての総合力である。

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