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全ビジネスパーソンがプレゼンを磨くべき理由 科学的に明らかにされているコミュ力の価値

東洋経済オンライン / 2024年1月24日 11時20分

舞台袖からパッと出てきて、数分間の漫才をしてみせるお笑い芸人さんを見て、私たちが感じる「話が上手い」にしても、同じこと。その場での喋りも凄いけれども、練り込まれた構成、吟味された内容、自分たちをどう見せるかまで徹底的に分析し、数百回では済まないリハーサルと本番がなせる総合力で、私たちを魅了しているのである。

そろそろ「コミュニケーション能力」の学術定義をいいかげん開示しよう。コミュニケーション能力とは「ある特定の文脈において、メッセージの伝達や解釈、意味の交渉ができる能力」を意味する(4)。

コミュニケーション研究における日本の重鎮・大坊郁夫たちは、このコミュニケーション能力について既存研究の整理・統合を行い、ENDCORE(エンドコア)モデルを提唱している(5)。ENDCOREとはすなわち、Encode:自己を表現する能力、Decode:他者の発言を受け止める能力、Control:自己を統制する能力、Regulate:他者との関係を調整する能力の4要素のこと。「上手な喋り」の背後では、これらの力がフル動員されているのである。

コミュニケーションの力を磨いていくとは、これらの総合的な能力を高めていくことである。表現する力、他者を理解する力。自己を統制する力。そして、上手に関係をつくる力。これらはまさに、ビジネスパーソンとしての基礎力である。コミュニケーションに長じるとは、人間社会でよく生きるための多種多様な能力が総合的に高い状態なのである。

まずは練習すること

現代社会では、残念ながら、「愚直に頑張っていれば、いつかは気づいてくれる」という、薪を背負って勉強する二宮尊徳や、慎ましくも心清らかに暮らすシンデレラのストーリーは通用しなくなっている。情報過多で、アテンションエコノミー(注意を惹けるかどうかが経済的価値をもつこと)である時代、あなたは、ちゃんと他者にアピールができなければ、人生で大きく損をしてしまうことになる。

では、どうやってコミュニケーションの力を磨いていくのか。詳細は次回以降にお伝えしていくとして、皆さんにはまず、「それは単に練習の産物である」ことを強調しておきたい。ボールの投げ方、ピアノの演奏の仕方、水泳のやり方と同じ。相手に伝えることも、身体運動のひとつであり、脳の働きなのであるから、毎日ちょっとずつでも練習すれば、確かに昨日よりも上手くなるのが「伝える」ということなのである。引っ込み思案でも、静かな人でも、吃音症の人でも。先天的な条件の違いはあれども、誰しも、練習すれば確かに自己の中で前進していくのがコミュニケーションである。

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