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学生に「AIを積極的に使おう」と促す切実な理由 9割の学生がChatGPTを使っていなかった

東洋経済オンライン / 2024年1月29日 11時30分

ところがここに来て、ChatGPTのような言語生成AIに代替できる可能性が出てきました。至るところで、AIが人の代わりに働き得る時代になりつつあると言えます。そのため、AIが仕事や経済、社会に与える影響は、これから果てしなく大きくなっていくでしょう。

にもかかわらず、「自分はAIにまったく興味がありません」という知り合いが私の周りには割と多くいます。余計なお世話ではあるのですが、将来大丈夫だろうかと心配になってしまいます。2023年の4月に、私が大学で受け持つ受講者300人ほどの講義で、ChatGPTを使ったことがない人に手を挙げてもらったところ、9割ぐらいの学生が挙手しました。それで「いやあ君ら、使った方がだんぜんお得だよ」と心の中で思いました。

最近、ChatGPTを教育の現場で使わせるべきかどうかといった議論が盛んになされています。しかし、これはそもそも二者択一の問題ではありません。電卓を使って効率的に計算した方が良いような局面は当然あるでしょう。けれども、だからと言って九九を覚える意義がなくなることはありません。

要するに、技術を使いこなして答えを出すことと、技術を使わないで自分の頭で考えることの両方が必要なのです。おそらく大学の先生には、学生にはChatGPTを使わせたくないという意見の人が多いでしょう。そのため、私自身は学生に対して「AIは積極的に使うように」と促して、バランスを取ろうと思っています。

そもそも、現時点では生成AIを使っていない学生が少ないため、まだその使い方を習得してもらう段階にあると言えます。ビジネスパーソンもそうですが、より多くの人がAIを使いこなせるようになった方が、「AIデバイド」が縮小していいと思います。

DIYテクノロジーとなった人工知能

これまでAIは、大学や企業に属するAIの専門家によって研究開発がなされ、活用されてきました。しかし、生成AIの登場によってAIは民主化され、誰もが簡単に使えるようになったのです。専門家ではない個人であっても活用できるような技術を、私は「DIYテクノロジー」と呼んでいます。「DIY」は「Do It Yourself」(自分自身でやる)の略で、業者や専門家に頼まずに自分で家を修繕したり家具を作成したりすることを言います。

量子コンピュータやバイオテクノロジーは、まだDIYテクノロジーではありません。「自宅で趣味の一環として遺伝子操作をやっています」という人はほとんどいないでしょう。かつてのAIも同様です。

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