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学生に「AIを積極的に使おう」と促す切実な理由 9割の学生がChatGPTを使っていなかった

東洋経済オンライン / 2024年1月29日 11時30分

それだけ簡単に作品が作れるようになれば、誰もがクリエイターになれると言っても過言ではありません。私は子どもの頃、漫画家になりたかったのですが、友だちから「画伯」とからかわれるくらいに絵が下手だったので、早々に断念しました。その後高校生の頃は、作曲家になりたいと思っていたのですが、音感がなさすぎてそちらの夢も諦めました。いまなら私は、漫画家にも作曲家にもなることができます。

実際、『サイバーパンク桃太郎』(Rootport、新潮社、2023年)のように、AIだけの絵で作られた漫画がすでに存在しています。あるいは、「Soundraw(サウンドロー)」のような音楽生成AIを用いると、数分に1曲のペースで音楽を作り出すことができます。絵が苦手でも、音楽的才能に恵まれていなくても、誰もがクリエイターになり得る時代が到来したのです。

経済学者の森永卓郎氏の言葉を借りて「1億総アーティスト時代」と言うこともできます。本当に国民のほぼ全員がアーティストのようになるかどうかはわかりませんが、個人がネットなどを通じて創作物を販売する「クリエイター・エコノミー」が急速に拡大するのは間違いないでしょう。

そしてそれ以上に、AIに作らせてみたものの、特に売りに出されることもない創作物が増大すると思われます。なにしろ、AIはものの数秒で画像を生成し、数分で音楽を完成させることができるので、その分だけむやみやたらと作られ、売り物にならないような創作物がネットにあふれかえるようになるわけです。

それが問題なのは、せっかく絵画やデザイン、作曲などの技能を身につけても、稼ぐことが難しくなるということです。今でも、クリエイターは一握りのスーパースターがいる一方で、その仕事だけでは生計が成り立たない人たちがたくさんいる職業です。ところが今後は、専門的な職業としてますます成り立ちにくくなるでしょう。

「1億総アーティスト時代」をあなたはどう生きる?

というのも、今ですらAIの生み出す画像や音楽はレベルが高いうえに、今後さらなるレベルアップが図られることが予想されるからです。そのため、AIが乱造する作品にすら、並みのクリエイターでは太刀打ちできなくなるでしょう。

さらに、人々はAIの生み出した無料の作品を消費することで満足してしまい、AIの作品よりも優れた人間の作品があったとしても、わざわざお金を出さなくなるかもしれません。

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