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都市部でも深刻化「買い物弱者」をどう救うか? セーフティネットとしての買い物を考える

東洋経済オンライン / 2024年1月29日 12時0分

「おでかけま〜す」で「遠隔ショッピング体験コース」を実施している様子(写真:豊後大野市)

「買い物弱者」という表現がある。経済産業省によれば、「人口減少や少子高齢化等を背景とした流通領域や交通網の弱体化等の多様な理由により、日常の買い物機会が十分に提供されない状況におかれている人々」を「いわゆる買い物弱者」と位置づけている。

【写真】「おでかけま〜す」が活躍する豊後大野市のいま

国としては、海外事例などを含めた買い物弱者の現状把握や民間事業者の事業例などを公開し、各地域で関係者間の相互連携をサポートする姿勢を示す。

そうした中、地方部や都市部で具体的な試みが進められている。今回は、大分県豊後大野市の社会実験「おでかけま〜す」と、東京都の「都営住宅における買物弱者支援事業」を紹介したい。

豊後大野市の「おでかけま〜す」

大分市中心部からクルマで1時間弱、山間部にある豊後大野市(人口3万3156人/世帯数1万5734/面積603Km2)。

市内の大野町中心部と土師公民館で2023年11月20日、「おでかけま〜す」第2弾が実施された。

「おでかけま〜す」とは、地域住民が「気軽におでかけする」ことと、さまざまな交通手段を駆使した最適な移動「MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)」をかけ合わせた造語だ。

豊後大野市、土師振興協議会、そして大分大学大井研究室という官学が連携して実施主体となる、公共交通利用促進事業である。

土師公民館のある大野町北部地区の地域人口は133人で、世帯数は79。高齢化率は、74.4%(2022年4月時点)とかなり高い。大きなスーパーなど商業施設がある地域まで10数kmの距離がある地域だ。

「おでかけま〜す」第2弾では、大きく2つのコースが用意される。

Aコースは、「遠隔ショッピング体験コース」。実際に買い物をする担当者がスーパーで陳列棚を撮影し、利用者はスマホアプリでそれを見ながら商品を選ぶというものだ。

使うアプリはLINEなどごく一般的なもので、事業運営スタッフなどがアプリ操作のサポートもする。新規システムの導入コストもない、いたってシンプルな発想だ。

参加者は、土師公民館で定期的に開催されている「サロン」の参加者がメインだが、サロン参加者以外でも利用は可能。

サロンとは、地域住民が茶のみ話をする気軽な集いであり、全国各地に存在するもの。土師公民館のサロンには、日舞の発表会や出張理容サービスもあった。

「あいのりタクシー」を使うオンデマンド買い物

Bコースは、「デマンド買い物体験コース」。サロンには参加せず、自宅からデマンド型の相乗りタクシーで、大野市中心部の大野公民館へ移動。公民館で昼食をとってから、「Aコープおおの」、または「道の駅おおの」で実際に買い物をしたあと、あいのりタクシーで帰宅する。

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