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「やりたいことは副業で」と盲信する人が陥る罠 副業でも、やりがい搾取されることは十分ある

東洋経済オンライン / 2024年1月31日 12時20分

「やりがい搾取」をさせないためには、仕事の対価についてしっかりと考えることが重要なポイントであるといえます(写真:jessie/PIXTA)

政府が推奨するなど、年々副業をする人が増えている令和。「キラキラしている」「意識が高い」などのイメージで見られがちですが、実際に副業をしたことがある人は、意外とこんなふうに思っていることも。

「実際はもっと泥臭いものなんだよ。というか、精神的にも肉体的にも大変なんだよね……」

「会社の収入だけで不安なく暮らせるなら、自分も副業なんかしないよ……」

副業社会人たちの、切羽詰まった日常の実態、そして、そこから見える日本の現在・未来とは? 約3年にわたって、会社員と書評家の二足のわらじ生活を経験した、三宅香帆さんが送るエッセイ&インタビュー連載。

「やりがい搾取だから、無料ではできない」

あなたは2016年に放送されたテレビドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』を覚えているだろうか?

新垣結衣さん演じるみくりが、星野源さん演じる平匡とともに契約結婚する物語である。最初は家事と労働を交換し合う「契約」だった2人の関係は、恋愛が絡むにつれ、別の問題をはらんでいく……という様子を描いて大ヒットした。

なかでも私が印象的だったのは、テレビドラマの第10話だ。

真野恵里菜さん演じる親友の安恵に誘われ、みくりは商店街の活性化について話し合う会議に参加することになる。アイデア気質のみくりは、マーケットで商店街を賑わせることを提案。そのアイデアを採用した商店街の人々は、みくりに、無料でマーケットの手伝いをお願いしようとする。

みくりはこれについて、「やりがい搾取だから、無料ではできない」と拒否する。

友達だから、職歴になるから、という理由があったとしても、だからといって労働力を無料で提供しなければいけないわけではない。友達でも、職歴になっても、仕事である以上それは金銭を介在させるべきなのだ――とみくりは言う。

2016年当時、『逃げるは恥だが役に立つ』は、「搾取」という言葉を流行させるきっかけをつくったのではないか、と私は思っている。やりがいになるから、やってみたら楽しいから、と金銭以外の理由をもって働かせようとする社会にNOを突き付ける。それが、みくりの姿勢だった。

しかしこのようなみくりの姿勢は、しばしば「小賢しい」と評価されることにもなる。いちいち金銭や理屈や合理性を求めるなんて、なんだか小賢しい。そんなふうに評価されてしまうことに悩むみくりは、たしかに日本のさまざまな問題を内包している。

副業こそやりがい搾取されやすい立場にある

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