蜜月終焉、フィリピン正・副大統領間で大抗争勃発 マルコスとドゥテルテ、大統領選から一転、対立激化
東洋経済オンライン / 2024年1月31日 8時0分
2024年1月28日は後年、マルコス・ドゥテルテ戦争の幕が切って落とされた夜と記憶されるだろう。2年前、二人三脚でフィリピン正副大統領選挙を制したフェルディナンド・マルコス・ジュニア(通称ボンボン)氏とサラ・ドゥテルテ氏の蜜月が終わり、「ワンチーム」の瓦解が誰の目にも明らかになったからだ。
ボンボン氏は、20年にわたり独裁体制を敷いた元大統領の長男。サラ氏は暴言と剛腕で名を馳せたロドリゴ・ドゥテルテ前大統領の長女。2028年の次期大統領選の最有力候補であるサラ氏が政権ナンバー2の座を辞すと示唆したのに続き、弟のダバオ市長がボンボン氏に公然と辞任を要求した。父の前大統領も参戦し、家族や支持者を巻き込む抗争に発展している。いったい何が起きているのか。
両陣営が集会を同時開催
1月28日夜、ボンボン陣営はマニラ市で「新フィリピン運動」の開始式典を開いた。父のフェルディナンド・マルコス(シニア)大統領が展開した「新社会運動」を模したイベントだ。
一方同じころ、南部ミンダナオ島ダバオ市で開かれた護憲集会に前大統領が登壇し、ボンボン氏を「麻薬中毒者だ。大統領になる前も今も」と放送禁止用語で罵った。そのうえで、「このまま(憲法改正に)突き進むと、親父と同じ運命をたどることになる」と警告した。38年前、「ピープルパワー」によってシニアの政権が崩壊、ボンボン氏を含むマルコス家がアメリカへ追放された政変になぞらえた発言だ。
フィリピンでは、2023年末から憲法改正をめぐる動きが加速している。政変後の1987年に制定された現憲法は厳しい外資規制を定めている。これが外国企業誘致の障害になっているとして、これまでもたびたび改憲が俎上に上ってきた。
しかし大統領や議員の任期延長などが同時に盛り込まれて独裁復活の引き金になるのではないかと反対する声がそのたびに持ち上がり、手が付けられたことはなかった。
今回は、ボンボン氏のいとこで最側近であるマーティン・ロムアルデス氏が議長を務める下院が主導する形で議論が進んでいる。国民発議の署名運動も始まった。
ボンボン氏は就任以来、改憲には慎重な態度を示してきたが、1月23日のテレビ番組で「現憲法はグローバル化を想定しておらず、外資を呼び込むためには調整の必要がある」と一転して前向きな姿勢を示した。
これに対して前大統領らが「改憲によりボンボン・ロムアルデス一派は権力に居座ろうとしている」と一斉に反発の声を上げているのだが、現政権に対するドゥテルテ陣営の不満は、改憲の動きにとどまらない。
この記事に関連するニュース
ランキング
-
1NYで人脈構築の小室圭さん、対照的な生活の眞子さんは「ほとんど外出せず」紀子さまが抱える“複数”の不安
週刊女性PRIME / 2024年7月4日 7時0分
-
2“症状重く強くなることも”ダニにかまれ…被害増加、医師が注意呼びかけ、布団の中のダニ対策【Nスタ解説】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年7月2日 22時10分
-
3川崎重工業が架空取引で得た資金で海自潜水艦部隊に金品提供か 十数億円規模か
ABCニュース / 2024年7月4日 9時7分
-
4「64歳まで国民年金納付」案見送りへ、負担増に国民理解を得にくいと政府判断
読売新聞 / 2024年7月3日 13時42分
-
5938人が立候補した村長選挙、旧中田村で何があったのか…選挙活動せず投票ボイコット「ほとんどが稲刈りしていた」
読売新聞 / 2024年7月4日 8時5分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)