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「どうせ社会は変えられない」諦めている人の盲点 田内学×近内悠太「お金と贈与」トーク【後編】

東洋経済オンライン / 2024年2月3日 11時30分

「社会を変える」というのは、じつはそう大それたことではないのかもしれません(画像:maruco/PIXTA)

元ゴールドマン・サックスのトレーダー、金融教育家の田内学さんと、教育者、哲学研究者の近内悠太さん。

2023年10月に田内学さんが『きみのお金は誰のため』を、2020年3月に近内悠太さんが『世界は贈与でできている』をそれぞれ刊行し、いずれも話題のベストセラーとなっている。

そんな2人のトークイベントが、昨年11月17日、東京の青山ブックセンター本店で行われた。『きみのお金は誰のため』の制作に大きく影響を与えた、近内さんの「贈与論」を交え、社会を変えるためのキーワードである「お金と愛」をテーマにした2人ならではのトークを、再編してお送りする。今回はその後編。

前編「お金・偏差値…『数字に振り回されてる人』の盲点」

無駄で行き過ぎた教育競争

田内学(以下、田内):今の教育には、無駄な競争が多いなって思いませんか? 僕自身もそうでしたけど、いい会社のいい席に座るためにいい大学に入らなきゃいけないって、不安をかきたてられていました。

【写真】経済教養小説『きみのお金は誰のため』には、「勉強になった!」「ラストで泣いた」など、多くの読者の声が寄せられている。

将来、子どもには幸せになってほしいと思っているんですけど、今の教育は、さらに厳しい椅子取りゲームみたいになっていますよね。

近内悠太(以下、近内):相対的に上に行くことは、誰かを蹴落とすことになりますよね。

田内:教育だけでなく産業の競争も同じで、革新的なものをつくるというより、これまでと同じものを作り続けているから、他社に勝つ必要があって、みんなが頑張れば頑張るほど熾烈な戦いになります。

教育の話だと、頑張れる子は頑張って勉強するけど、子どもの中には頑張れない子もいますよね。

勉強を頑張れない子には他の道も示してあげて、椅子に座れなかった子たちもちゃんと幸せになれるような社会を作る、っていうアプローチも必要なんです。

こっちのアプローチについては、みんなが頑張れば頑張るほど、社会がよりよくなると思います。

近内:そうですね。

田内:僕が、みんなで社会のことを考えましょうというと、田内さんは生活にゆとりがあるから社会のことを考えられるんですよってよく言われるんです。

でも、自分の子どもに将来幸せになってほしいと願うなら、子どもが生きるであろう未来の社会を変えなきゃいけない。僕が社会のことを考えようと言っているのは、だから僕自身のエゴでもあるわけです。

これは誰にとっても他人ごとじゃなくて自分ごとだし、社会を変えることで、みんなも幸せになれるんです。

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