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「どうせ社会は変えられない」諦めている人の盲点 田内学×近内悠太「お金と贈与」トーク【後編】

東洋経済オンライン / 2024年2月3日 11時30分

ただ、それはなかなか難しい。日本がもっと困る状況にならないと「なんとかしないといけない」と思えないのかもしれないなとも思います。

社会を自分ごとにするためは想像力が必要

近内:本当に困ったことになれば、日本人も目が覚めるだろうっていうのは、もちろんそうなんです。

でも、僕らは人間なので、想像力によって、日本の破滅の瞬間を逆算してイメージできると思うんですよね。

なので、世界を想像する力、想像力を使って一緒に考えなければならないっていうのが、田内さんの本の後半のお話かなと思いました。

田内:破滅って、不可逆で元に戻らない状況なんですけど、時間も不可逆で戻らないんですよ。

だけど、普段は実感できなくて、身近な人の死があったときに、ようやく時間が不可逆だと気づくんですよね。これは宮台さんがおっしゃっていたんですが、最近では葬式に出る機会が減っていて、死を感じられなくなっているそうです。

今は家族葬が多くなっちゃったから、子どもは特に、本当に身近な人が亡くならないと葬儀に行く機会がなくなっちゃっているんですよね。

近内:同じことは二度と起こらないってことに、気づきにくくなっているかもしれませんね。

田内:不可逆な出来事の経験を重ねるからこそ、今を生きることの大事さがわかるのかなって思いますね。

近内:いろんな意味で傷つき足りていないから、まだ何とかなるでしょって思ってしまうけど、都合のいい解決方法ってないんですよね。

田内:僕の本以外にも、お金の本っていっぱい書店に並んでいるんですけど、大体お金の増やし方とか節約術なんです。

老後2000万円問題が出たときから、そういう本がよく売れてるイメージがあるんですけど、投資をしなきゃって方向に行ってしまいます。

お金が投資に回ったら株価が上がるから日本は復活するって本気で信じている人もいますよね。あとは、すべての原因は円安だから、日本の金利を上げさえすれば円高になって日本経済はよくなるんだと言っている人たちもいますし。だけど、そんな簡単な話じゃないんです。

近内:今がそんなに悪いのか、というのは、もっと考えてもいいと思います。昔は子どもが生まれてすぐ亡くなったり、戦争もあったり、もっと悲惨だったと思いますよ。

昔の人は、着ている服や乗っている馬車が違うとかで、明らかに見た目で身分の差がわかりました。でも今は、大富豪も市民も、見た目では見極めができなくてかなり均一化されています。

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