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「どうせ社会は変えられない」諦めている人の盲点 田内学×近内悠太「お金と贈与」トーク【後編】

東洋経済オンライン / 2024年2月3日 11時30分

田内:東南アジアのほうの考えですよね。

近内:同じように、日本も昔は助け合って生活していたんですけれど、今これを再び社会実装するのは相当難しいと思いますね。

ただ、「遊び心」を絡めた社会実装であれば、実現可能な気はしています。

元NHKのプロデューサーの小国士朗さんが以前企画された「注文をまちがえる料理店」というプロジェクトがありました。これはホールスタッフが全員、認知症の状態にある方々という、不定期で開催されるレストランでした。コンセプトは「まちがえちゃったけど、まあ、いいか」です。

注文や配膳をまちがえるかもしれないんですけど、それ自体がコンセプトのレストランですからお客さんもそれを許容するというか、その雰囲気自体を楽しめるわけです。そしてもちろん、この企画では認知症ケアの専門家の意見を聞き、それをきちんと反映させたそうです。認知症の当事者の方々への配慮も含めて。

近内:こういうアイデアが各地で起こると、みんなハッピーだし、気づいたらケアが日常になっている気がします。もちろんすべての社会的事象に適用できる方法ではありませんけど。

田内:あったかいですね。

近内:いいことをしたいとか、困っている人を助けたいって気持ちもあるんだけど、そこに面白みがないと人を巻き込みにくい状況なんですよね。社会課題はたしかにいまここにある、でもそれを正面から真面目に取り組むだけでは、多くの人に関心をもってもらい、協力を取り付けることは難しい。

どうすれば、日常の中に認知症の人たちの役割や居場所を作れるかなと考えた結果、気づいたらケアになっていた。

こういうプロジェクトを知るだけでも社会は変えられると思うし、気がついたら社会が優しい場所になっていた、っていうのは僕の理想ですね。

社会を変えるのは政治家ではなく自分

田内:国を変えるのは政治家だと思っている人もいるかもしれないけれど、政治家は投票してもらわなきゃいけないから、有権者のことを考えているんです。

前の本を書いてから、政治家の人たちに「経済問題の原因の1つは少子化ですよ」って話をしたときに、若手の議員の方は十分わかっていました。

でも、地元で少子化対策しますって言うと、お年を召された方に「俺たちのこと見捨てるな」と言われちゃう。政治家って、力ありそうに見えても、当選しなかったらただの人なんですよね。

近内:そうですよね。

田内:だからこそ、僕ら1人ひとりの「意思の集合体」が空気を変えないといけないと思います。

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