「どうせ社会は変えられない」諦めている人の盲点 田内学×近内悠太「お金と贈与」トーク【後編】
東洋経済オンライン / 2024年2月3日 11時30分
あったかい布団があって、清潔な水もあって、十分ではないかもしれないけどかなり上出来な時代になっていると思うんですよね。
まだ不満を言うのか皆さんは、と思うこともあります。
意識を変えると社会が変わる
田内:今の生活に満足するって話につながりますけど、最近の資本主義は行き過ぎていると議論されていますが、近内さんはどう感じていますか?
近内:僕には資本主義の「すきま」を埋めるという考えがあって、資本主義を絶賛もしていないけれども、否定もしていないんですよね。
資本主義というメカニズムがあって、民間企業があったから、アメリカは鉄道を走らせられたんです。
資本主義によって生まれたイノベーションがあるので、それを享受している我々が「やっぱり資本主義って悪役じゃん」っていうのは、違うかなとは思います。
ただ、資本主義単品だと問題が生じるのも事実だから、それを補正してあげる意味でも、身近な人の助けが必要になるんじゃないかなと。
田内:結局はシステムや制度を変えるだけじゃなくて、僕らの意識自体が変わらないといけないんですよね。
近内:資本主義が悪いんだっていう気持ちは認めるけど、そうだとしたらじゃああなたは具体的に何をするんだ! ってことですよね。
社会がどうかっていうのは置いておいて、あなたは何をするんだって問いに答えられる、準備ができている人をどこまで増やすかってことなんです。
田内:僕の本の中で伝えたいことは、1人ひとりが社会を作っているってところなんです。日本財団の「18歳意識調査」で、6カ国(日本、アメリカ、イギリス、中国、韓国、インド)の18歳にさまざまな質問をしたんです。
その中の1つに「自分の行動で、国や社会を変えられると思いますか」という質問があって、他の国は50%以上、多い国では80%近くの人がイエスって答えているけど、日本の場合はたったの27%なんですよ。
社会は人ごとで、自分では変えられないと思っている若者が多いのは、よくない傾向です。
遊び心が増えると優しい社会が作られる
近内:ある地域ではいまでも、徳を積むと死後の世界での安楽が約束されると考えられているので、困っている人を助けたくて仕方がないという状況が生まれるんです。
死後の世界で安楽が果たされるかはわからないし、それって結局自己利益のために他人を助けているだけでは? と思われるかもしれませんが、実際の世界では助け合っているように見えますよね。
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