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韓国大統領が「岸田首相愛」をほとばしらせるワケ 1日でも長い岸田政権継続を願う尹錫悦

東洋経済オンライン / 2024年2月3日 7時50分

2023年5月、広島でのG7サミットの際に訪日した韓国の尹錫悦大統領(左)は、韓国人原爆犠牲者慰霊碑に岸田文雄首相と訪れた(写真・2023 Bloomberg Finance LP)

政治資金規正法違反の裏金事件で自民党はボロボロ。岸田文雄政権の内閣支持率は2024年1月の朝日新聞の世論調査で23%と、2012年末に自民党が政権復帰して以降、最低の水準となっている。

そんな中、岸田政権の行く末をひどく案じているのが尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領率いる韓国政府だ。2023年3月、日韓外交の最大懸案だった徴用工問題で、韓国政府が解決策を明らかにした後、それ以前の冷え切った関係がウソのように政府間関係は改善した。

「ギネス級」異例の首脳会談数

8カ月あまりの間に公式の首脳会談だけでも7回開いた「盟友」の危機。天下分け目の2024年4月の総選挙が間近に迫り、尹大統領自身の足元も大きく揺れているが、それでも「岸田愛」は尽きない。

2023年9月、インドで開かれた主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席した岸田首相と尹大統領は、同年8月のアメリカ・キャンプデービッドに続き、6回目となる首脳会談に臨んだ。

岸田首相が笑顔で、「今年6回目ですね」と水を向けると、尹大統領はこう切り返した。「年内10回を目指しましょう」。

この時点で10回の首脳会談を達成できる可能性はすでになかったが、11月にはアメリカ・サンフランシスコで開かれたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議の際、7回目となる日韓首脳会談を実現させ、打ち止めとなった。

頻繁にもたれた日韓の政治リーダーによる会談をして、韓国の尹徳敏(ユン・ドンミン)駐日大使は「ギネス級」とたたえる。日韓の外交当局者らによると、同じ1人の首相と大統領が1年に7回も公式の日韓首脳会談を実現させた例はないという。

こんな急な蜜月関係の契機となったのはやはり、徴用工問題の解決策の発表だった。

韓国の司法判決によって確定した、日本企業の負う賠償を韓国政府傘下の財団に肩代わりさせるという「奇策」は、司法手続きによってすでに差し押さえられていた日本企業の資産などの現金化を阻止、あるいは当座しのぐことを可能にした。

日本側では、韓国政府がまるまる日本政府の要求を受け入れたとして、尹大統領の英断に評価が高まっている。確かに尹大統領が、解決策を発表した後に起きるであろう厳しい批判を覚悟のうえで、政治的な判断をしたことは間違いない。

尹大統領が決断した徴用工問題解決策

交渉にあたってきた韓国・外交省では、趙賢東(チョ・ヒョンドン)第1次官ら一部を除いて、解決策の中身や発表時期に反対の声が支配的だったし、大統領室内でも消極的な声があった。それらを押し切った形での尹大統領の決断だった。

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