1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

韓国大統領が「岸田首相愛」をほとばしらせるワケ 1日でも長い岸田政権継続を願う尹錫悦

東洋経済オンライン / 2024年2月3日 7時50分

徴用工問題の解決策発表後、野党や市民団体から厳しい攻撃を受ける尹大統領に対し、ゴールデンウィーク連休に入る少し前になって急きょ、岸田首相が訪韓準備を進めるよう実務者に指示したのがきっかけだった。

韓国政府側は驚きつつも、大歓迎する意向を伝え、東京での首脳会談でシャトル外交の復活を約束してから、わずか2カ月で両首脳の往来を実現させた。

その後も両首脳は国際会議に出席した際などに会い、会談を重ねたが、先述の2023年9月にあったニューデリーでの会談は、日本としては大きな「手土産」を携えて臨んだ。

韓国国内ではまだ、徴用工問題での大幅譲歩に対する尹政権批判が続き、日本側からの見返りにあたる「呼応措置」の乏しさへの反発も出ていた。そんな中、2030年の国際博覧会(万博)の開催地に立候補していた韓国南部・釜山に投票することを、岸田首相自ら尹大統領に直接伝えたのだ。

開催地は同年11月の博覧会国際事務局(BIE)総会で決まるが、釜山市は本命視されるサウジアラビアのリヤドと競っていた。BIE総会は秘密投票で決まる。これまで日本政府は原則として投票する国に事前に伝えておらず、極めて異例の伝達だった。

岸田首相が不文律を破ってまで対応した背景には、徴用工問題に加え、東京電力福島第1原発の「処理水」への尹政権の対応もあった。韓国社会で強い反発が出ているにもかかわらず、尹政権は放出に理解を示し、厳しく批判する中国と対照的な反応をみせた。

BIE総会は、165カ国のうちリヤドが1回目の投票で119票を獲得。これに対し、韓国国内では「接戦」が伝えられていた釜山は、わずか29票で惨敗した。しかし早い段階から、しかも自身の口から「釜山支持」を打ち出した岸田首相の思いは十分に伝わり、両トップの信頼関係はさらに強まったと言えるだろう。

こんな経緯を踏まえ、7度の首脳会談をこなした日韓両国。2023年を無事に終え、2024年もさらなる関係強化を、と期待していた矢先、日本で自民党安倍派などの政治資金に関する疑惑が持ち上がり、事件にまで発展した。

「岸田政権支持率低下」に衝撃

2023年12月、毎日新聞の世論調査では岸田内閣支持率が前回調査より5ポイントマイナスの16%と10%台に落ち込み、政権発足以来最低を2カ月連続で更新。ほかにも内閣支持率は10%台という世論調査があり、これによりソウルの大統領室や外交省、在京の韓国大使館に衝撃が走った。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください