韓国大統領が「岸田首相愛」をほとばしらせるワケ 1日でも長い岸田政権継続を願う尹錫悦
東洋経済オンライン / 2024年2月3日 7時50分
一方、この解決策が日韓両政府の長期間にわたる共同作業の末、結実したという過程も見逃せない。
2022年3月の大統領選で、薄氷ながら尹大統領が当選を決めた直後から日本政府と尹氏陣営の関係者、韓国外交省当局者らが水面下で接触を重ね、同年5月の尹政権の発足以降も、解決策をめぐる踏み込んだ協議を続けて、じわじわと距離を詰めた。
最も難しいメインの課題が徴用工問題だったのは当然として、解決策発表後に控えるその他の問題の進展も含めた、一種のパッケージ・ディールだった。
そのパッケージの中には、早期の尹大統領の日本訪問と初の日韓首脳会談の実現も入っていた。2023年2月、双方の外務当局は徴用工問題の解決策づくりに向け、詰めの作業を急いでいたが、同時に尹大統領の来日に向けた準備も進んだ。
解決策のほうは敏感な問題だけに、表現ぶりが消えては復活するといった細かなやりとりが続いたが、それに比べ、日程調整のほうはさほど複雑ではなかった。その結果、解決策の発表の最終的な日時が固まる前に、先に尹大統領の来日が2023年3月16、17の両日に決まるという奇妙な逆転現象が起きた。
かたや解決策の発表は、いったん2023年3月3日に固まりかけたが、再び韓国政府内で、一部の文言の調整が必要との声が上がり、正式発表は週明けの月曜日の3月6日に延期された。
徴用工問題の政治決着がついた直後の首脳会談では、事前の事務方の協議通り、たくさんの項目で意見を一致させた。関係が上向くたびに再開で合意されながらも、実際には長く形骸化してきた、首脳同士が形式にとらわれることなく互いの国を行き来する「シャトル外交」も復活することが決まった。
前任の文在寅政権の時代には、日韓の政府間対話が著しく滞った。そのため首脳会談では、トップだけでなく「政治・経済・文化など多岐にわたる分野で政府間の意思疎通を活性化していくこととし、具体的には、まずは日韓安全保障対話及び日韓次官戦略対話を早期に再開すること」(日本政府側資料)で一致した。
これを受け、実際に各レベルでの対話が次々に再開され、それらのほぼすべてが、文・前政権の停滞期を浮き彫りにさせる「5年以上ぶり」の実施となった。
尹大統領に応えた岸田首相
トップ同士のほうは2023年3月の尹大統領の来日に続き、当初は下半期に実現できるかどうか、ともささやかれていた岸田首相の訪韓が、5月のゴールデンウィーク明けすぐに実施された。
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