今のニュースメディアに欠けている機能とは何か 「情報を提供するだけ」では未来はない
東洋経済オンライン / 2024年2月9日 10時10分
技術進化の中で変化を繰り返してきたメディアが直面している課題とは何なのか。インターネットの普及が加速した2000年代に新聞、雑誌などのメディアで活躍してきた面々が一堂に集まり、これからのメディアに求められる機能について、議論が盛り上がった。
この座談会は2023年11月18日に都内で実施。出席者は坪田知己(元日本経済新聞社日経メディアラボ所長)、藤村厚夫(スマートニュースフェロー)、松井正(FM栃木東京支社長、元読売新聞記者)、柳瀬博一(東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授、元日経BP記者・編集者)。司会進行と取りまとめは、校條諭が務めた。
メディアの究極の目的とは?
校條:まずは日経電子版の「生みの親」とされる坪田知己さんから、現在のニュースメディアの課題について問題提起をお願いします。
坪田:私が1993年に日経社内で「未来は電子新聞だ」と断言したのは、情報の本質から言って、紙によるニュース伝達は読者を裏切ることになるという確信があったからです。
「情報とはそもそも何なのか」というと、情報は、行動のネタなのです。そのまえに判断=意思決定がある。ちゃんとした情報がないと意思決定を間違ってしまう。だから正確で早い情報取得が必須になる。とくにビジネスの現場はそれを求めています。
つまり、メディアというのはデシジョンサポートシステム=DSSなのです。メディアの究極の目的は意思決定の最適化です。これ以外ない。その意思決定のスタイルが大衆レベルから個のレベルに移っている。
日経が先行したのは、経済は、何かが起こったら、株価が動く。昔は、印刷に頼るレベルでよかった。しかし、今は、リアルタイムで知らないといけない。例えばイスラエルとかウクライナの情勢がどうなっているのか。事態が動いた瞬間に世界中の株価が連動する。経済ニュースは今のネット時代に相性がいい。だから日経が先行できることは明白でした。
「協考」という私がつくった言葉があります。「コラボレーション=協働」って言葉がありますが、働くではなくて、一緒に考える=協考のメディアというのをつくらないといけない。そういう広場、議論する広場をつくる必要がある。それは一般のメディアがチャレンジするべきテーマだろう。面白い問題提起をして、勘のいいファシリテーター(中立的な立場で多様な意見を整理する人)がついて、質の高い議論と、よりよい合意形成をできたら面白い。
この記事に関連するニュース
-
【元日経新聞記者へインタビュー】平均年収の高いビジネスパーソンたちが好んで読む「面白いネタ」の共通点
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月3日 8時15分
-
山崎武司、西武・松井稼頭央監督の休養にコメント「ここを明確にしてほしい」
マイナビニュース / 2024年7月2日 18時30分
-
“新聞離れ”が加速、不動産事業も焼け石に水…ジリ貧の大手新聞社が見習うべき「アメリカの事例」
日刊SPA! / 2024年6月27日 8時53分
-
スポーツ報知の「記事ドロボー事件」に思うこと…スポーツ報道に蔓延る「疑似盗用」もしかり
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年6月22日 9時26分
-
移動時間の情報番組「HEADLIGHT」日経BPとコラボレーションメニューの提供を開始
PR TIMES / 2024年6月14日 14時40分
ランキング
-
1今度はなんのコラボ? マクドナルドのX、次回の「ハッピーセット」のヒント画像公開...期待高まる
J-CASTニュース / 2024年7月4日 16時49分
-
2妻に先立たれた65歳、年金約17万円・おひとり様シニアを襲う<老後破産へのカウントダウン>
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月3日 9時0分
-
3宝くじで「10億円」当選! でも実際に“手では持てない”って本当?「1000万円」なら片手で持てる? 元銀行員の筆者の経験もあわせ解説
ファイナンシャルフィールド / 2024年7月4日 4時40分
-
4「衝撃でした」従業員も驚き「川崎重工業」の裏金問題 海自隊員らに飲食費など提供か 共同作業で懇親会も 規模は十数億円の可能性
MBSニュース / 2024年7月4日 11時45分
-
5子供いない夫婦「相続で失敗しない」1つの方法 家庭裁判所で「調停」が必要になるケースもある
東洋経済オンライン / 2024年7月4日 8時20分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください