長期で日本株が上昇する「ストーリー」はあるのか 「短中期」では日本株ブームは終わった可能性
東洋経済オンライン / 2024年2月10日 8時30分
一方、競馬はその対極にある。競艇、競輪あるいはドッグレースに比べてものすごく金(カネ)がかかる。今後、世の中は、効率化、低コスト化の進む世界になると思われる(世界的な少子化、労働力不足、あらゆる普通のことをするのにコストがかかるようになる。だから、付加価値よりも低コストのものが生き残っていく世界になる)。
そうなると、真っ先に維持不可能になるのはサラブレッドの世界だ。欧州競馬の衰退も、貴族の金がなくなったからであり、オイルマネーの道楽により何とか生き残っている。アメリカはそれに比べれば持続性があるが、それでも衰退傾向となっていくだろう。
一方、日本競馬が大成功したのは、JRAの戦略によるものだが、その背景にあるのは、競馬の庶民化、一般化、何より馬主の庶民化、一口馬主クラブの発明、発展である(これも前に述べた)。そして、日本のファンたちは、ウマ娘も一口馬主も、「物語」に心酔して、競馬の熱狂的なファンになっているのである。それはギャンブルとは異なった世界であり、今後もJRAは「物語」の続きを語らなくてはならない。
そのためには、前回の「Hero is coming」に続き、効率化、劇的な真剣勝負のドラマが必要で、馬同士のレースにおける競争をさらにドラマチックにすることである。もう1つは、馬を育て、調教し、御する人々、人間の側の真剣勝負の競争が必要だ、ということだ。
ひとことでいえば、JRAの厳しい参入制限、つまり、調教師免許、試験、そして騎手免許、試験の仕組みである。そして、厩舎スタッフの身分、所得保証である。
騎手は、現在所属のないフリーの騎手が大多数になり、競争は以前よりも厳しくなったが、実際、高額賞金レースのほとんどは少数の外国出身騎手に持っていかれる一方で、JRAという枠に守られた騎手たちの限定的な争いとなっている。
「調教師の競争促進」でさらに高レベルの調教師育成を
しかし、それよりもはるかに大きな問題は、調教師と厩舎スタッフであり、まずは、調教師の競争をもっともっと促進する必要がある。
私が競馬問題を論じ始めたころから比べれば、馬房の数は成績などで多少上下するようになったが、まだまだ少なすぎる。もっと自由に持たせるべきだ。
その一方で、美浦や栗東にあるJRAのトレーニングセンターの馬房が少なすぎて、あふれる馬たちを処遇するために、最大手の社台グループをはじめ、多くの有力馬主はお抱えの外厩(JRAのトレーニングセンター以外の競争馬の調教施設)を持っている。
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