長期で日本株が上昇する「ストーリー」はあるのか 「短中期」では日本株ブームは終わった可能性
東洋経済オンライン / 2024年2月10日 8時30分
次に、中国の投資家はどうだろう。「中国はやばくて、この流れはとりあえずは止まらない」「外交的あるいは地政学的な断絶的変化がなければ、当面流れは続くだろう」。こうしたストーリーが語られており、だから買いは続く。
海外の短期筋はどうだろう。彼らは、1月一気に買ったから、ここでは様子見だろう。そして何か次の短期的なストーリー(物語)が世界で見つかれば、日本から移していくし、米国株が動けば、株式から資金を流出させるだろう。これは短期的にマイナスの可能性があり、流れを加速させる役割がある。
欧米の長期投資家はどうだろう。大分、日本株を買った。中国から日本へのシフトも大分終了した。短期筋も長期筋も、日本というストーリーから、個別の株、これまで注目されてこなかった中型株の物色を始めている。それを買えるストーリーを探している。株主還元の余地がある企業や、依然割安な株を探し、世界の大型株ブームの終了に備えて、日本株の中で投資先を変えるチャンスをうかがっている。
つまり、日本全体の物語は終わりつつあるということだ。ということは、短期、中期的には、日本株ブームは終わる、あるいは踊り場となる。
では、長期の日本株の物語はどうなるか。
それは、結局、世界的に株式への配分がどうなるか、という物語にかかっている。
上述したように、物語は強力だが、次のテーマに基づく物語であり、運用先をどこからどこに変えるか、新しい魅力的な物語の対象先に移すか、という話であって、運用総額はいくら物語を語っても増えない。
中央銀行が資産を買い入れて、流動性を供給し、それを金融機関と投資家が受け入れなければ、総額は増えない。世界の借金総額が増えなければ増えない。そうなると、流動性はアメリカの中央銀行がいわゆるQT(量的引き締め)、国債買い入れ縮小のスピードが低下するというストーリーがせいぜいで、流動性が増えるストーリーは思い浮かばない。
となると、民間部門で借金が増えないといけない。先行きの金利低下を望む物語が常に語られているが、毎回、ジェローム・パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長の会見で、その物語は否定される。そろそろこの物語を信じる人も減ってくる。そうなると「足元の現実的な借り入れ金利は高止まり、先行きの低下も限定的」となれば、民間の借金は減っていくだろう。
今後、想定外の出来事が起きる可能性
このように、今後、世界での株式投資総額が増えるというストーリーはなさそうなので、株式市場の上昇は、少なくとも中期的には限定的だろう。
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