「AI先進国」になれるチャンスが日本にも到来 本郷バレーがシリコンバレーを超える可能性
東洋経済オンライン / 2024年2月12日 19時30分
おそらく日本人は潜在的に、友だちのようなAI、自分とコミュニケーションができるAIが欲しかったのではないでしょうか? 『ターミネーター』のような、AI・ロボットが人間に反旗をひるがえす映画を作るアメリカとは対照的です。
実際、イーロン・マスク氏や、スティーブ・ジョブズ氏とともにアップルを創設したスティーブ・ウォズニアック氏は、2023年3月にAIの開発を一時停止すべきであると提言しました。それだけAIを脅威としてとらえている人がアメリカには多いのです。
ヨーロッパにも、物理学者のスティーヴン・ホーキング氏や哲学者のニック・ボストロム氏のように、AI脅威論を唱えた著名人が何人もいます。
それに対し日本では、AIの開発を停止すべきだと言う人はあまりいません。日本ではAI脅威論が少ないので、それゆえにチャンスだということです。
ChatGPTは、ビジネスパーソンに広く浸透しつつあるのに対して、画像生成AIは日本のオタク文化と相性がよいと言えます。画像生成AIは、同人誌的な2次創作に似たような面があります。人が作った画像をかき集めてきて、それを改良してまた新たな画像を作っているからです。2次創作そのものであるかのような創作活動をしている人もいます。
私のある知り合いは、アニメに登場する女性キャラクターの、たとえば浴衣を着ている姿などを画像生成AIで作って大人気になっています。その画像を2万円で売ってくださいという人まで現れるほどです。でも本人はあまり儲ける気はないそうです。
これはまさに同人誌的な2次創作を、今度は画像生成AIを使って楽しんでいるということになります。なお、2次創作については著作権的な問題があるのですが、黙認されている状況です。
GPUなどを買う資金力が足りない
生成AIの利用という面では、日本はむしろ進んでいる面があるという話をしました。それでは、研究のほうはどうやったら推し進められるでしょうか?
今後、日本の企業や大学が、OpenAIと提携して共同研究をさせてもらえることもあるでしょう。そうすればノウハウが直接手に入るので研究がより早く進み、先端的なレベルに到達しやすくなります。したがって、このような動きは歓迎すべきです。
ただし、日本はAIに関わるノウハウや人材が不足しており、海外から取り入れる必要がありますが、もっとも足りないのは資金力です。
いまのChatGPTと同レベルの言語生成AIを開発するには、数百億円が必要だと言われています。特に、生成AIを動かすには高性能な「GPU」(グラフィック処理装置)がいくつも必要なので、それを購入するための資金がなくてはなりません。
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