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「AI先進国」になれるチャンスが日本にも到来 本郷バレーがシリコンバレーを超える可能性

東洋経済オンライン / 2024年2月12日 19時30分

それにしても凋落が劇的すぎると思われるでしょうが、これは半導体産業では「規模の経済」が働いているからです。すなわち、規模の大きな企業ほど、安いコストで商品を作ることができて有利という法則です。この法則が働いているために、規模が小さくなると競争において不利になり、ますます規模が小さくなるという悪循環が生じたのです。

「規模の経済」が半導体産業の悪循環を生み出している

私は、企業は市場経済の中で自由にビジネスを展開すべきであって、政府が関与すべきではないと基本的には考えています。政府が支えるべきなのは国民の暮らしであり、個々の企業の儲けではありません。

ただし、いくつか例外があって、「生活必需品や戦略物資に関わる産業」と「規模の経済が働く産業」については、政府が関与したほうがよい場合があります。生活必需品と戦略物資はかなりこうむっており、食料、石油や金属などの資源、兵器、そして半導体などです。こういったものを輸入にばかり頼り、非常時に輸入が途絶えたら、国民が飢えたり、国を守れなくなったりします。

こう考えていくと、戦前の日本が満州などに侵攻し、自給自足できるような広域経済圏を建設しようとした動機が、支配欲だけによるものではないことが理解できるでしょう。

しかし、今の日本は専守防衛を国是としており、私もむろん専守防衛に徹するべきだと思っています。そうであれば、経済安全保障の観点から、国がそういった産業を支援して自給率を可能な限り高めていく必要があります。

特に半導体は、パソコンやスマホばかりでなく、今や自動車やあらゆる家電製品にも使われていて、これなしでは現代的な生活を送ることができません。それゆえ、半導体は「産業のコメ」とか「現代の石油」などと言われてきました。のみならず、兵器にも組み込まれているので、戦略物資でもあります。

さらに、あらゆる物理的なモノがAIやIoTによってスマート化されていくとするならば、今とは比べものにならない量の半導体が必要となります。第4次産業革命で主力になるのはAIですが、それを土台で支えるのは半導体なのです。したがって、可能であるならば、日本は国を挙げて半導体産業をよみがえらせるべきでしょう。

「第4次産業革命」はAI×半導体で加速する

2022年8月にトヨタやNTT、ソニーなどが共同出資して、「ラピダス」という半導体メーカーが設立され、日本の半導体産業における最後の希望のように見なされています。そして2023年4月に、政府はラピダスに対して2600億円もの支援を決定しました。

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