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「AI先進国」になれるチャンスが日本にも到来 本郷バレーがシリコンバレーを超える可能性

東洋経済オンライン / 2024年2月12日 19時30分

ただし、ラピダスの成功は危ぶまれており、2ナノレベルという極小の半導体を量産する計画も無謀なものだと思われています。日本の半導体産業の復活は、困難を極めているのです。

可能であればGPUやそれに代わるAI用処理装置も国産できるようになったほうがいいでしょう。AIのベンチャー企業として有名な日本のプリファードネットワークス社は、独自のAI用処理装置「MNCore」を開発していますが、量産しているわけではありません。政府はせめて、優れた研究組織が生成AIの研究開発に必要なGPUを確保できるように資金を提供すべきでしょう。

経産省は、GPUを搭載したAIクラウドの設備に対し、68億円の補助金を出しています。このサービスは、さくらインターネット社が2024年1月から提供を予定しており、スタートアップ企業の活用が想定されています。こういった取り組みを拡充する必要があるのです。

政府は2000億円くらいの予算を出すべき

私は、AIの研究開発を劇的に進めるために、政府が年間2000億円ほどの予算を組んでもいいのではないかと考えています。2023年度のAI関連予算が1000億円ほどで、2024年度の概算要求が1600億円ほどなので、2000億円というのはそれほど無茶な額ではありません。それでも今よりも多くの予算があれば、開発環境の整備に充てられるだけでなく、世界各国から優秀な研究者を引き抜くことができます。

極端な話、世界中から根こそぎ優秀な研究者を引き抜くことができれば日本の圧勝です。もちろん、そこまで横暴なことをすべきだとは思いませんが、先端的な研究ができるレベルには持っていく必要があります。国内の優れた研究者を登用するのはもちろんですが、日本だけにとらわれる必要はありません。

中国がどうしてこれだけの科学技術大国にのし上がったのかを見ていくと、1つには世界中から研究者を引き抜いてきたからです。これは、「千人計画」あるいは「万人計画」と呼ばれていて、当初はアメリカなどに留学した学生を中国に引き戻すための政策でした。

しかしそのうちに、中国人でなくてもいいということになり、ほかの国からどんどん研究者の引き抜きを始めたのです。

じつは、最初にそのような政策を採用した国はシンガポールです。私は中国を「大きなシンガポール」と呼んでいます。シンガポールは国が小さいので、ベンチャー企業的な発想で優秀な人材を世界中から集めて成功し、瞬く間に日本の1人当たりGDPを追い抜きました。それを中国のような大国が真似て成功するのかという話なのですが、これが成功してしまったのです。

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