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「AI先進国」になれるチャンスが日本にも到来 本郷バレーがシリコンバレーを超える可能性

東洋経済オンライン / 2024年2月12日 19時30分

私たちが持っている普通のパソコンで情報処理に使われているのは、「CPU」(中央処理装置)です。GPUは、元々コンピュータのグラフィックを描くために使われていた専用の処理装置です。それがAIの処理にも適しているということで、今ではAIを動かすのに欠かせないハードウェアになっています。ほかにも、グーグルの開発したTPUをはじめとするAI用の処理装置がありますが、今のところGPUが広く利用されています。それゆえ、GPUを開発している企業であるエヌビディア社の株価が劇的に上昇していて、10年前の100倍以上になっています。

そういうこともあって、最近日本では、GAFAMに代わって「MATANA(マタナ)」という言葉が使われ始めています。これは、マイクロソフト、アップル、テスラ、アルファベット(グーグル)、エヌビディア、アマゾンの頭文字をとっています。比較的時価総額の低いフェイスブック(メタ社)が抜けて、それより時価総額が高いテスラとエヌビディアが入っているのです。

日本の半導体産業の凋落

GPUの世界シェアは、アメリカのエヌビディアとインテル社、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)社の3社にほとんどが占められています。インテル社は、元々はCPUの最大手で「インテル入ってる」というCMで有名な企業です。AMD社もGPU以外にCPUも作っていて、インテルと競合しています。

残念ながら、CPUと同様にGPUでも日本企業の世界シェアはゼロに近いです。おまけに、CPUやGPUの材料となる半導体の世界シェアで、日本は最盛期の1988年には50%を超えていましたが、今では6%ほどに凋落しています。

経済産業省の予測によると、2030年頃には日本のシェアはほぼゼロに近くなります。凋落の最初のきっかけは、1986年の「日米半導体協定」です。安い価格で半導体を輸出しないことや外国製品を20%輸入することなどがアメリカから日本に要求されたのです。

そのうえ、パソコンの普及で品質が悪くても安価な半導体が大量に必要になったのですが、台湾や韓国の企業のほうが日本よりもさらに安価な半導体を生産できるようになりました。

また、半導体製造のための工場を建てるといった設備投資には莫大な費用がかかり、日本はデフレ不況のただ中でそのような余裕はありませんでした。さらには、研究開発投資を減らしたために、技術革新が進みませんでした。ここでも、思い切った投資ができないというデフレマインドが足を引っ張っています。

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